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ブラジルサッカーの憂鬱  (連載第290回)

平成26年12月29日

スペイン南部コスタデルソルのミハスの町、アンダルシア州マラガ県標高428mに位置する人口7万人の観光都市。

※大阪の夜景

世界選抜イレブンの名を挙げてみよう

 資料を開かないでベストイレブンを列挙してみよう。GKは断然ドイツのノイヤーだろう。昨年ならばデヘアをあげていた。今年はW杯の功績を讃えてナンバーワンGKはノイヤーだ。

 DFで浮かんでくるのはスペインのピケとセルヒオ・ラモス、セルビアのイバノビッチ、イタリアのカンナバーロぐらい。

 MFではスペインのイニエスタ、シャビ、ドイツのクロース、エジル、シュバインシュタイガー、イタリアのピルロ、アルゼンチンのデマリア、コロンビアのハメス・ロドリゲス、コートジュボアールのヤヤ・トーレぐらい。

 FWでは、ブラジルのネイマール、アルゼンチンのメッシ、ポルトガルのCロナウド、ウルグアイのスアレス、イングランドのルーニー、オランダのロッペンとフランスのベンゼマ。やはりFWは印象強く世界的な選手が多い。怪我でW杯を欠場したコロンビアのファルカオが残念ながら落選。

 以上が私の世界ベストイレブンとしてリスペクトして掲げたい。

ブラジルサッカーの憂鬱

 前項のベストイレブンでお気づきの方も多いと思うが、ブラジルからはネイマール一人となっている。今年のW杯の成績からでは当たり前かもしれないが、こんなことは滅多にないことであろう。サッカー王国ブラジルからたった一人だけの選抜である。これは今のブラジルサッカーの衰退を象徴した現象である。

 サッカーはチームプレーのスポーツだ。しかし多くの観客はスターの個人プレーを見に行く。かつてブラジルではペレやジーコ、ロナウドやロナウジーニョだった。アルゼンチンではマリオ・ケンペス、マラドーナと言ったところ。日本ではカズや中田だった。今のブラジルはスター不足に陥っている。

 決定的な記事を見た。ブラジル衰退を数値で示した記事だった。スタジアムへの集客力が落ち込んでいて負債が増加している。あのW杯でのドイツ戦は恥の中の恥と言われている。優勝に一番近かった地元ブラジルがあの一戦でどん底に落とされた。未だどん底から抜け出してはいないし、出口の明かりすら見えていない。

 今年のことであるがブラジル選手権の一部同士のゲームで観客数が史上最低の766人を記録した。シーズン平均では1万6千人と日本よりか劣っている。人口2億人のブラジルの集客力は世界15位まで落ち込んでいる。ドイツの三分の一という状況である。ブラジルは今回のW杯のために14のスタジアムを改修または新築した。しかしながらスポーツにおけるサッカーの収益の占める割合は全体の2パーセントだと記されている。かつて20万人を集めたリオのマラカナンスタジアムでも空席が目立っている。

 ブラジルサッカーの衰退はあのドイツ戦から始まった訳ではない。以前から徐々に衰退して行ったと思われる。その状態の中でW杯ドイツ戦を迎えた。そして一気にどん底に突き落とされたということだろう。ブラジルのサッカー関係者はW杯ブラジル大会に優勝をして、多くの若手が活躍し新しいスターが誕生する。新しいスタジアムには数万人が駆けつけ、新たにV字回復していくことを想像していたことだろう。今はその真逆である。

 衰退の原因はどこだろうと考えてみた。その第一に貧富の差を克服しているサッカーまでも富裕層中心になった。観戦チケットの高騰である。第二に女性子供が安全で観戦できる治安対策の遅れである。第三はスポーツの多様化だろう。そしてなんと言っても政治と経済の安定が必須だ。W杯ではこれらすべてのマイナス面が表面化した。それでもかつてのブラジルはサッカーに歓喜した。決定的なものは最初に述べたスター不足である。唯一のスターネイマールもバロセロナでプレーしていて自国では見ることはない。

アギーレ監督会見

 アギーレ監督が急遽会見した。会見する前からその中身はほとんど知れている。代表合宿を直前に控えて監督が会見する以上、辞退や更迭の話はないだろう。自らのサッカー人生39年間に汚点は全く無いと言った。私が知りたかった不審なお金の流れについては無言を通した結果となった。八百長疑惑の一戦の直前に高額な金が振り込まれ、それがどこへ行ったのか、その金がボーナスならば税務申告の有無を含めた何か証拠となる書類を提示し、潔白を証明して欲しかった。ただ言えることは、これで協会の選択肢はなくなったということだ。後は彼の言葉を信じてアジア杯を勝ち抜くしかないだろう。

 今年一年様々な場面をテレビで見た。社会の不祥事の釈明会見のひとつによく似ている。来年はすきっとした会見を見たいと思う年末です。良いお年をお迎えください。