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アジアカップ始まる  (連載第292回)

平成27年01月13日

※オーストラリアの奇岩地帯カタシュダ まるで風の谷のナウシカの世界へ

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オーストラリアでアジアカップ始まる

 アジアカップはW杯予選と異なっていてホーム&アウエーの戦いでない。一国開催方式で決勝戦まで一か月のロングランである。日本代表はW杯と同様にオーストラリア国内にキャンプを張っている。過去の大会では初期に韓国が2回、イラン3回、サウジ3回、最近は日本が4回優勝している。オーストラリアはAFCに加盟して間もないことから優勝経験は無い。前回のカタール大会では日本とオーストラリアの決勝で延長後半、左サイドから長友が中央へ見事なクロスを上げ、中央へフリーで走りこんだ李忠成のボレーシュートが決まって1-0で勝利し優勝した。この時のザッケローニ監督の大喜びなシーンが目に焼き付いている。当時私はこんなきれいなゴールは見たことがない・・・とつぶやいた。

 A組はオーストラリア、韓国、クウェート、オマーンで順当に開催国オーストラリアと韓国が抜け出すだろう。

 B組は中国、北朝鮮、サウジ、ウズベクで死の組に近いが順当ならサウジとウズベクだろう。

 C組はイラン、バーレーン、カタール、UAEと中東の国で構成されていて死の組に近い。 順当ならバーレーンとイランだろう。カタール、UAEにも十分可能性はある。

 D組は日本、イラク、ヨルダン、パレスチナで順当ならば日本とイラクとなるが、日本はヨルダンを苦手としている。前回も引き分け、W杯ブラジル大会予選では敗戦している。 通算成績でもドローだ。

 日本はW杯ブラジル大会の敗退から半年が経過した。いち早くアギーレ監督を招聘して
新しいサッカーを試している。しかし、私達には明確なアピールが見えてこない。前任のザッケローニ体制からの変化を望んでいたが選手層からさほど変わったとは言えない。メンバーの大半、つまり13人がザックジャパンのメンバーである。サッカーそのものは4-3-3システムを導入しているが、各選手にはザック体制で試されていた4-2-3-1システムが馴染んでいるのか、選手にはためらいが目立つ。

 アギーレ監督は、日本の素晴らしいパスサッカーがゴールを生むパスになっていないと感じている。ゴールにつながるパスと早い攻撃を意識する。そして攻撃に素早く人数をかけるためのフォーメーションを模索する。4-3-3は攻撃の時には3-4-3に変わり、防御の時は4-1-4-1に変化する。今年のトレンドである堅守速攻と可変的なシステムの導入ということだ。この場合のキーマンは中盤の底にいる選手である。時には長谷部であったり、遠藤であったり香川であったりするのである。彼らの出来が勝敗を左右するのである。しかし敵も日本をマークしている。十分な分析をした上で戦ってくるだろう。キーマンをつぶしにかかってくるに違いない。その時に前線の本田が下がり過ぎないでどのように関与できるかだろう。

 日本に一番良いパターンは先取点を早く取ることだ。その結果相手が攻撃に人数を掛けなければならない時にチャンスが再度生まれてくる。そして早いパスと多勢の攻撃が有効になるのだ。かつては、DFや中盤の底で横パスやバックパスを多用して前線の動きだしを待つ傾向があった。これは、むしろ敵にパスを奪われて決定的なピンチを招いた。その上、速攻には程遠い遅攻になっていった。相手が引いて守備を固めた場合に対抗する有能なドリブラーもいなかった。そして強烈なミドルを撃てる選手もいなかった。唯一の攻撃は本田や香川のパス回しだった。そして最終ラインをえぐることは少なくなっていき、消化不良で攻撃は終わりを告げていく。

 私は中盤ではワンタッチパスを多用して活路を広げ、前線ではドリブルで突破することだと思う。そうすれば乾や武藤が生きくるだろう。岡崎の飛び出しにもチャンスは広がる。
これが早いサッカーなのだ。アギーレが言う日本にぴったりな速攻スタイルの確立だろう。
しかし、逆に先取点を取られたら、敵は引いて守備を厚くする。この状況が一番の不得手なケースである。多数の敵を前にゴールをこじ開ける正確なシュートができない。ボール保持率は高いが結果敗戦のケースが生まれる。

 アジアカップは新しい船出ということで大切な大会である。6月から始まるW杯ロシア大会予選へのロードマップに日本強敵というイメージをアジア諸国に植え付ける大会である。
そして世界に出る前に日本の可変的4-3-3システムがアジアで機能するのか、試される大会でもある。また、アジアカップ優勝者に与えられるロシアコンフェデレーションカップ(各大陸優勝のチャンピオンシップでW杯の前哨戦)の参加権が魅力だ。この大会に出ることがFIFAランクアップにつながり、W杯のスタジアムや移動のシミュレーションとなるのである。W杯で欠くことのできないキャンプ地選定にも影響を及ぼす。

 しかし、アジアナンバーワンはそう容易く手に入ってこない。アジアにはすば抜けた選手が多くいる。イラクにはファラジ、UAEにはオマル、韓国にはソンフンミン、ウズベクにジェバロフ、オーストラリアにはレッツキーとケーヒルがいる。彼らは必ず日本の前に壁となってくる。この壁を打ち破る闘いとなることも間違いない。日本は今まで彼ら名選手に何度となく阻まれてきた。今回は彼らにも日本の凄さを知らしめなければならない。以上が四年に一度のアジアカップの大切な所以であろう。

アジアカップここまでのゲーム

 9日の開幕戦ではオーストラリアの強さが目立った。クウェートに4-1で勝利し盤石のスタートを切った。10日のサウジアラビアと中国戦はサウジがPKを外して先取点を取れず、中国がFKの一点を死守して勝利している。韓国はオマーンに1-0で勝った。点数以上に韓国の力は勝っていた。韓国は良いスタートを切った。一方ウズベキスタンは1-0で北朝鮮を下した。11日には、UAEがカタールを4-1で退けた。強豪イランはバーレーンを2-0で完璧なゲームで制した。まず感じたことだが中東のチームはフィジカルが強固で技術的にも高いレベルであること、そしてどこもGKが強く、試合経験が豊富なことだ。体力的に見たら日本、韓国、北朝鮮は分が悪いと感じた。後はチーム全体の出来とラッキーボーイの登場が勝敗を左右することだろう。

日本対パレスチナ戦

 12日のゲームで日本が登場した。初戦に勝ち点を取らなければ優勝の確率がゼロというデータが残っているだけに大変緊張したゲームになった。日本の初シュートが初ゴールとなった。遠藤が狙い澄ましてミドルシュートを撃った。地を這うシュートはコースが良かった。ゴールインした時にホットした吐息が聞こえた。その後は日本のペースで得点を重ねて行く。香川のPKを本田が蹴りこんだ。どんな形のゴールでも初戦の本田には必要だった。後半からは選手交代をする余裕も出来た。このゲームの功労者は長谷部だ。中盤の底で守備も攻撃にも起点となった。ただ100点満点のゲーム展開ではなかった。遠藤が交代した後半はリズムが単調で一人少ない相手から追加点が取れない。結果4-0の勝利を称えたいが、ロスタイムの猛攻撃でも追加点が取れなかったことが悔やまれる。これがイラクだったら勝てたかどうか疑問である。次戦のイラク戦が天王山だろう。

 最後にこの日、もう一つの注目するゲームがあった。高校サッカー決勝である。4-2で星陵高校が前橋育英を延長戦で下して初優勝した。このゲームはレベルの高い素晴らしいゲームだった。私たちの時代と違ってサッカーが上手い選手が多い。そして、彼らは選手権の意味を良く理解していた。勝つために必要なことはゴールであって、シュートを撃つことである。彼らは果敢にシュートを狙った。前橋の10番、星陵の7番、11番が素晴らしい良い選手だと思った。