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イラク戦辛口批評  (連載第293回)

平成27年01月17日

※アジア杯開催国風景 入り組んだポートジャクソン湾に掛かる全長1.5kmのハーバーブリッジはシドニーの表玄関だ。

※アジア杯開催国風景 入り組んだポートジャクソン湾に掛かる全長1.5kmのハーバーブリッジはシドニーの表玄関だ。

これまでの戦況

 A組は予想どおりオーストラリアと韓国が抜け出した。B組は予想に反して中国が抜け出した。かつての中国の荒いサッカーは影を薄め、組織を意識した組み立てるサッカーが功を奏している。ウズベキスタンが予想よりチームとしての質を落としている。サウジも初戦の敗戦が響いているが二位抜けのチームはどちらかだろう。C組はイランとUAEが抜け出した。バーレーン、カタールも力には大差はないと思っている。

 D組は2勝した日本がトップであるが、最終戦次第では決勝トーナメント落ちの可能性が潜んでいる。最終戦はヨルダンと対戦するが大差で負けた場合、パレスチナを大差で勝利するだろうイラクと勝ち点6で3チーム同率に並ぶことになる。後は総得点や得失点差で 順位が決まるが、最終戦次第である。日本はヨルダンに引き分け以上の自力で勝ち抜くことが望まれる。

辛口批評 イラク戦

 若手中心で、ある意味成熟していないイラクが相手で良かった。1-0の僅差の勝利だ。日本のパスサッカーが十分機能したゲームだったが問題点の多いゲームでもあった。問題点とは一言で言うと決定力のないことである。本田、香川、清武で決定力のない点を検証してみよう。

 本田は1PKと3失敗であった。3失敗とは3つのポストとバーを直撃したシュートを指す。 しかし最初のシュートと後の2つのシュートとでは意味合いは大いに違っている。最初のショートは長友の絶品のクロスが山なりに反対側の本田にピタリ合った。ヘッドでシュートするが左ポストに嫌われてしまう。これは残念ながら不幸なケースであった。後の二つが問題であると思っている。

 後半の追加点がほしい時間帯に本田の前にこぼれてきたボールを右足でシュートを撃った。やや山なりの力のないシュートであったがボールはクロスバーに弾かれてしまう。このシュートはただ単にボールを蹴っただけでコントロールしたシュートとは言えない。効き足でない右足ではシュートの精度はかなり落ちると言っても過言ではない。その上、最近の本田はFKでもゴールを決められないでいる。得意の左足の精度も落ちていて迫力を感じられない。なおさら効き足でない右足からのシュートはコントロールの効かないキックでしかない。それがクロスバーを叩く原因となっている。

 最後の失敗は、暑さでバテている状況であった。チームは速攻に入って本田はゴール前まで猛ダッシュしてきた。そこに清武からの速いセンタリングに足が付いて行かなかった。得意の左足が間に合わず止む得ずに右足を出しただけである。ボールはコントロールしていない右足に当たって再度左のポストに嫌われてしまった。原因はスタミナ不足から速攻に付いて行けない状況下で生まれたのである。

 ではどのようにすれば良いのだろうか。本田はスピードがないことを克服するために頑強な肉体で補ってきた。今度は頑強な肉体をそぎ落としてでもスピードとスタミナを付ける練習が必要である。しかしながら日本で唯一の得点は彼が得たPKであって、それを決めているのも事実である。今の日本に彼の存在感は欠くことが出来ない。万一彼が先発不在であれば日本の指揮に影響を及ぼしてしまう。このゲームでは後半遅くに彼は武藤と交代したが、本当はもっと早く代えるべきだろう。そして次戦も彼は先発である。

 次は香川について考えてみよう。彼の働きはゴール前で決定的なラストパスを繰り出すテクニックに表現されている。しかし彼のゴールを久しく見ていないのも事実である。彼がドイツからイングランドへ渡った時がピークだとすれば、今はその半分以下かもしれない。だからと言って彼をリスペクトしていない訳ではない。今回のイラク戦でも彼の反転からのパスは良く効いた。しかし、明らかにシュートすべきところで彼はパスを選択する失敗を犯している。それは後半長友からのパス交換から始まった。長友のショートパスで香川はダイレクトで壁パスを返している。しかし誰が見ても長友がそのパスをもらってもシュートコースから離れるばかりで、香川の位置からの方がゴールへの確率は高いものであった。彼もそれが分かったらしく、次の機会は必ずシュートすべきであると意識していた。と感じた。

 次に右サイドのペナルティエリアに入ったところでボールを受けた時に中央の岡崎へのパスを選択しないで自分でシュートを放った。角度のないところからのシュートはGKに阻まれてしまう。ここでは彼のシュートの選択は間違っていない。ただシュートの質に問題があった。世界クラスの選手ならこの位置からゴールを奪う。そこが香川の問題点であった。左右45度からのシュートで中央にDFが守備している場合、ゴールは左右の上隅のコーナーに強烈なシュートを撃つことである。

 香川には強烈なシュートがない。インステップで思いっきり振り切るシュートがない。 香川のゴールは芸術的なコースを選んで入れるシュートだ。しかし強烈な力まかせのシュートは打てていない。ではどうすれば良いのか・・・。シュート力をつけるために太ももをもう一回り太くして筋力をつけることだ。身体が太くなると小回りは効かなくなるがシュート力はアップする。なりふり構わずに思いっきり振り切るシュートを撃つことだ。まだまだシュート練習が不足している。

 最後に清武についてこう思っている。彼にはサッカーセンスを磨いてほしい。彼の所属するドイツリーグでは彼のスピードとキレが生きている。しかし、ここで彼に必要なことは柔らかいパスセンスだ。鋭い勢いのあるパスよりもビロードのような柔らかいパスが必要な場面も多い。後半、香川からのパスに反応してフリーで抜け出した清武が早い鋭いパスをゴール前に通した。バテバテの本田が辛うじて右足に充ててポストに嫌われている。このパスはあのような鋭いボールではなく、もっと本田が蹴りやすいビロードパスを送れるセンスが求められている。

 そうだ、小野伸二のような柔らかいパスで良かった。後半も深い時間に選手の大半は疲れていた。途中から入った清武は元気もりもりであった。途中からでも全体を見る余裕と繰り出せるパスの多様さを彼には必要としている。まだまだ若いと言える年でもないだろう。将来の代表を担う選手になるためにもっと上を目指してトレーニングしてほしい。

 以上がイラク戦での辛口コメントだ。

 この試合で遠藤が代表150試合を達成している。この数字は国際Aマッチに出場した数である。次点は井原選手の122試合で次にGK川口の116試合と続く。彼には最大の敬意を払いたい。遠藤のことは別の機会に考えてみたい。

 最後に今夕オーストラリアと韓国が戦った。後半は暑さで場伸びした展開となったが韓国が1-0で地元オーストラリアを下し一位通過となった。韓国は失点0で予選通過した。DF陣は背が高くオーストラリアのFWと互角以上に戦った。見事な勝利だ。いよいよ次は最終戦ヨルダン戦だ。ガンバレ日本。