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正念場の一年 (連載第300回)

平成27年03月08日 コラム300回記念

※西オーストラリア・パースの夕陽 インド洋に沈む夕日が美しい。
※西オーストラリア・パースの夕陽 インド洋に沈む夕日が美しい。

正念場のシーズンが始まる

 今年は何故 正念場なのだろうか。私はサッカー界では大変重要な一年になると踏んでいる。今回の300回記念のコラムにしては重々しい内容になってしまった。本来なら過去のコラムから面白い内容や日本サッカーのあるべき姿の持論を展開するところだろう。しかしそんなことを言っている悠長な時間はなさそうだ。

 最初に日本代表監督が内定した。前号でも述べたハリルホジッチ氏だ。オシム元監督の後押しもあたったという事になっている。ここでオシムの言葉がまたしても日本サッカー界に影響を及ぼした次第だ。その新監督が就任するだろう時から三か月足らずでW杯ロシア大会のアジア予選が始まる。長い予選のスタートで躓(つまづ)くことは許されない。最近のアジアで勝てない代表が復活するためには早く新監督の基に日本らしいサッカーを生み出す必要がある。サッカー界は四年に一度のW杯でリセットしてきた。今回は二度目のリセットである。そういう意味からも今年は正念場であるのだ。

 次にリオオリンピックへの出場をかけたアジア予選がまもなく始まる。U22のアジアでも決して勝てていないのが現状である。今回は今までと違ってホーム&アウエーの戦いではない。オリンピック予選がアジアU22選手権を兼ねてカタールで開催される。上位3チームがリオオリンピックの出場権を獲得するのである。まさに短期決戦でタフな戦いを制するものが勝ち取れる。W杯のアジア枠は4つと思われている。オリンピックは3枠である。この一枠が現在の日本代表には大変重い環境だろう。アジアでベスト4に入れない代表が物語っている。

 次に女子のW杯が6月8日にカナダで開催される。現在ポルトガルで行われているアルガルベ杯で初戦デンマーク完敗だった。なでしこジャパンは旧態依然のメンバーで初戦を戦った。DFもMFもFWもGKも良いところがなかった。すべて悪かった。いつもの流れるようなパスサッカーは見られなかった。最大の理由とは何か。日本は研究されていること。日本のサッカーは簡単でGKから始まるパスの積み重ねで相手ゴール前までボールを運ぶ。いわゆるポゼッションサッカーだ。相手チームはそのボールの出どころにプレッシャーを掛けて早い段階で崩してしまうのである。

 その上、各チームの進化は早く、日本の進化は停滞している。これにも理由があって日本は昔のメンバーが名を連ねている。これでは進化のスピードは遅い。第二戦のポルトガル戦では古いメンバーを総取替えして2-0で完勝をした。初戦と真逆で勝った。新しい選手が得点をした。しかし決して新しい選手ではない。かつての控え組でヤングなでしこのメンバーは少なかった。

 明日の第三戦のフランス戦のスタメンが気にかかる。初戦と第二戦の混合メンバーでフランスに勝利したら、このメンバーがW杯を構成していくだろう。そして、もうひとつ言えることは澤選手の居場所がなくなったという事だろう。もしも私が監督であっても澤選手を選ぶよりも将来性のある若手を一人入れておきたい。私は澤選手が現役にこだわることなく次の指導者をめざしてほしいと思っている。このような理由で今年は正念場であるのだ。

Jリーグが開幕した

 もうひとつの正念場はJリーグだ。今年J1は2シーズン制を実施する。これは、低迷にストップをかけるためプロ野球のクライマックスシリーズを模倣した試みだろう。シーズン終了後にもうひとつの山場を作ってJリーグを盛り上げて行こうと考えている。メリットもあればデメリットもある。しかし、何かをトライしていかないと進化はないと考えられる。もちろんこの方式だけで一気に解決することはない。サッカー人口を底辺から増やすための地道な努力が必要なことは分かっている。Jリーグ開始、W杯開催と自然体で増やしていったが東京オリンピック再開催に向かって新たな仕掛けが必要ではないだろうか。

 昨日のJ1では点を取るべき選手が得点をして活躍した。大変面白いゲームが多かった。ガンバ大阪対FC東京においては宇佐美とパトリックが得点し、武藤の劇的な二得点でドローとなった。広島の佐藤、鳥栖の豊田、川崎の大久保も得点をした。私にとっては名古屋の小屋松のJ初得点が一番の喜びであった。そう高校ナンバーワンFWで京都橘高校出身の彼はJ初年の昨年、大けがで長期離脱していた。彼の復活のゴールが開幕戦の松本山雅戦で出たのである。彼にとっては正念場の一年となるに違いない。

 そしてガンバの宇佐美にとっても新しい監督になった日本代表に向かっての正念場となるだろう。いろんな意味でのスタートが始まったのである。

アジアで勝てない日本の問題点

 前回のコラムにおいてアジアで勝てない日本について謎めいた言葉で濁したが、今の日本に足らないものは闘争心であることだ。アジアカップで躍進したUAEの監督が述べた言葉が印象的に今も残っている。「勝つためには必ずしもきれいなサッカーをする必要はない。時には気持ちで、魂でプレーすることが求められている。」今年の多くの選手権でどれだけの闘争心が生まれるのか、それを見てみたい。

 追記 本日間もなくキックオフのあるJ2福岡対京都サンガのゲーム、明日のなでしこジャパン対フランス戦の結果を待たずにコラムを挙げた。それは一日でも期待を維持していたいと願ってのことだ。京都サンガにとっても正念場の一年と言えるだろう。地元のチームが強いことが何よりの活性化につながるはずだ。