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シナリオのない世界 (連載第305回)

平成27年04月20日

南アフリカに行ったときに初めてサファリツアーに同行した。偶然出会った白サイの群れは南アでも貴重なワンカットらしい。
※南アフリカに行ったときに初めてサファリツアーに同行した。偶然出会った白サイの群れは南アでも貴重なワンカットらしい。

J2第8節の結果

 前号でC大阪と京都サンガにはっぱをかけたつもりだったが、今節の結果を見てがっかりしている。C大阪は群馬に1-2で負け、京都サンガは徳島に1-0で負けている。京都は最下位から4番目という最低位を記録した。ゲームを見ていないのでこれ以上のコメントは出来ないが何かが狂い始めている。

シナリオのない世界

 ここで旅(ツアー)の話をしてみよう。冒頭の写真はかつて訪問した南アフリカでサファリツアーに参加した時のものだ。サビサビという私設保護区でジープに乗ってサファリツアーに参加した。(ジープのボンネットには猟銃を構えたボディガードが付く) 突然、車の脇から白サイが現れた。そして、そのまま水飲み場に着く。私は夢中でシャッターを切っていた。ここ南アフリカでも白サイは希少動物であるらしい。まさに偶然の出会いだった。

 この偶然の出会いがサファリツアーの醍醐味といったところだ。これに先んじて四国ほどの面積を持つクルーガーランド国立公園でのバスサファリにも参加した。その日、バスの一行はガイドに連れられて昼間にライオンの巣となっている岩山の洞窟に案内された。ガイドからはこの時間ライオンはエサを求めて外出していて留守であると教えられた。私達は内心、恐怖と好奇心が入り混じって複雑な気持ちで洞窟に入った。期待通りライオンは不在で安堵感と同時に残念な気持ちを感じることになった。たった15分程度の間にさまざまな体験をしたのであった。

 持論であるが、旅(ツアー)の究極の形はサファリツアーだと思っている。その訳は、多くの旅はすべてシナリオに沿って動いている。シナリオとは飛行機の便や時間が決まっていることや、宿泊のホテルが決まっていたり、観光地の行先がはっきりしていることである。予定していた美術館を訪問した時に閉館中であったらがっかりする。だから事前に調査をして予約をする。旅はシナリオに沿って進められるのである。

 しかし、サファリツアーはシナリオのない旅だ。行ってみないとどんな野生動物に遭遇するか分からない。たとえ期待した野生動物に出会えないとしても、それはそれで納得できるからである。野生動物を求めて広大な大地を探検することがサファリの本来の目的なのだ。このようにシナリオのない世界は私達を興奮させ、生きている実感を呼び覚ましてくれるのである。

 サッカーでもシナリオのない世界がある。だから夢中になれる。だから心躍る。今節J1で数々のシナリオのないドラマが生まれた。川崎F対仙台戦は、仙台リードの後半に二得点して3-2で川崎が勝った。終了間際の決勝点は大久保だ。FC東京対広島戦では開始3分で武藤が得点、しかし後半37分の広島の浅野の勝ち越し点だ2-1で広島が逆転勝利した。

 浦和対横浜M戦では先取点の横浜に対して前半終了間際に二得点で逆転した浦和が勝って連勝記録を伸ばした。名古屋対清水戦では、先日日本代表に選出された永井と川又の得点で3-1と勝利している。J2では横浜FCの三浦カズが得点して最年長記録を更新した。

 スポーツの面白さはシナリオのないドラマである。ハリルホジッチ監督はロシアW杯でベスト4を目指すと言った。シナリオのないドラマが始まろうとしている。