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FIFA疑惑 (連載第310回)

平成27年6月5日

※かつてのニューヨーク・マンハッタン
※かつてのニューヨーク・マンハッタン

FIFA疑惑Ⅱ

 「ここで手錠をかけられるか、捜査に協力するか」二者選択を強いられた。アメリカ人の元理事、別名10パーセント男がFBIから逮捕された時の言葉だ。そして司法協力に合意してFIFAの汚職事件が暴かれた。こんなニュースが飛び込んできた。まさに映画の1シーンだ。この理事は盗聴からおとり捜査までを手伝ったとされている。ほんとにしばらくしたら映画が出来そうだ。普通映画では、この裏切り者の命が狙われてFBIの老練刑事が守ると言うストーリーだ。果たしてこの結末はどうなるのだろうか・・・。

 プラッター会長が辞意を表明した。再選され辞意を発表とすると言う自分なりのシナリオだろうか、その方が少しでも長く会長職に留まることができる。その間に地盤固めなのか疑わしい。UEFAヨーロッパ連盟がW杯ボイコットを叫んだらFIFAは持たないと思っていた。そしてUEFAも共倒れだろう。今後はアメリカ捜査陣がプラッター会長の疑惑をどれだけ暴けるかどうかだ。

 とことんやると表明した司法長官の言葉は強かった。アメリカはサッカー市場では後進国だ。そのアメリカだから摘発で来たという声とアメリカ居住するヒスパニック系移民のバックヤードがあったからという意見がある。多くのヒスパニック系移民は貧困層だ。彼らが愛するサッカーが一握りの白人によって牛耳られている現実があつたのだろう。今やヨーロッパやブラジルなどのかつてのスーパースターから、この際徹底的に膿を出し切ってFIFAが生まれ変わることを望む声が上がっている。

 では、いよいよ今日の核心だ。2022年W杯カタール大会問題だ。ご承知の通りいろいろと問題が出ている。当時オーストラリア、日本、韓国なども立候補していた。しかし、圧倒的な不利にもかかわらずカタールに決定したのである。理由が疑惑のひとつでもある。今後カタール大会の決定が覆されたら日本は再度立候補すると言う。

 しかし私は思う。日本が積極的に手をあげることを推奨しない。今後も疑惑問題は怨念を持って長く引きずられて行く。カタールもアジア協会に属しているのだ。プラッター氏を応援していた日本が急展開に反プラッターに方向転換できるほど政治的根回しが長けているとは思えない。理屈をこねてアピールするようなロビー活動は下手くそである。もちろん金を使うことは出来ない。

 日本は最後までクリーンな手法で控えめな立候補が良いのではないだろうか、東京オリンピックのプレゼンの真似をする必要はないのだ。招致が成功して国立競技場の再建に信じられない経費が費やされている。冷静な眼で見る人がいて、そんな声に耳を貸す人たちが絶対に必要だと思っている。2002年のために作ったスタジアムが泣いている。だからと言って損得勘定を無視した誘致は禍根を残すことになる。スタジアムはW杯を二度開催するために作られたものではない。国民スポーツの高揚とJリーグなどのサッカー競技の発展が目的であった。底辺からのサッカー育成を地道に続けてこそスタジアムは生きてくるのである。ラグビーW杯、東京オリンピックだけでも大変なんだから・・・。