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女子W杯カナダ大会決勝(連載第316回)

平成27年7月6日

※ニューヨークブルックリン橋を渡ってマンハッタンへ向かう。いよいよ本丸だ。
※ニューヨークブルックリン橋を渡ってマンハッタンへ向かう。いよいよ本丸だ。

決勝戦アメリカに2-5の大敗 アメリカが四年前の屈辱晴らす

 不思議な巡り合わせの決勝戦となった。過去の戦績からみても日本の不利を疑う余地はないし選手層を見てもアメリカに優位があるのは事実だった。しかしマスコミは安藤選手の合流や澤の前試合の温存などのささやかな要素を引っ張り出して連勝の確立を高めていた。

 なでしこジャパンの短所はそのままアメリカの長所と裏返しだ。つまりスピードとパワーに弱い日本とスピードとパワーが強いアメリカということだ。立ち上がり四失点にW杯ブラジル大会のブラジル対ドイツ戦の悪夢を思い出してしまった。一旦崩壊したDF陣を立て直すことは難しいことがわかった。分っていてもアメリカのスピードに付いて行くことは出来なかった。FWロイド一人に三点を取られて彼女に得点王とMVPを献上してしまった。

 三点目が入った時、完敗を覚悟する。しかし、ここで一点返したら後半のいくえは不明確になってくると思った。最終戦スタメンからいじって対応したら面白かった。今の日本にアメリカと五分で対応できるのは宇津木だけだろう。日本人も大型でフィジカルとスピードを求められる。小型で数人で対応するには限界がある。それが決勝戦という限界だった。

 日本は数試合同じスタメンでキックオフ直後DFが大きくアメリカの裏に蹴りこんで押し上げ高い位置のポゼッションサッカーがスタートだった。しかし、アメリカは簡単にそのボールを弾き飛ばした。最初のコーナーキックが低い早い弾道で来るとは思いもよらなかったに違いない。一瞬で得点を許してしまった。

 たらの話で申し訳ないが、澤と岩渕を先発で起用し宇津木にDFをさせても良かった。 準々決勝、準決勝と決勝と同じ戦術で戦う方がおかしい。

これからの日本サッカー

 なでしこはそれでも準優勝に輝いた。堂々と誇り高く帰国してほしい。アジアで三枠しかないリオ五輪の予選が待っている。これに切り替える必要があろう。しかしその次を考えると世代交代を急ぐ必要にかられる。選手の大型化、スビードアップ、フィジカル強化はさけて通れない。その上でなでしこのパスサッカーを貫くことである。大儀見や宇津木タイプを十人そろえることだろう。

 GK山根の成長も待ったなしである。第二第三の山根の発掘も必要だ。それぞれの選手が芸能人並みのテレビ出演を自粛してアスリートとして向き合うことに集中すべきだろう。準優勝は立派であるが優勝を逃したことは事実である。その優勝を目標として誓ったことも事実である。しばらくは悪夢に悩まされる夜が続くだろう。私も選手監督も・・・

そして・・

 表彰式にブラッター会長の姿はなかった。もう過去の人になった。再起は困難であろう。 日米の戦士たちがお互いの健闘を祝って抱擁している場面がTV画面から見えた。四年前の裏返しの場面だった。とりわけ澤とワンバックの抱擁は胸を熱くした。

 南米で開催されていたコパアメリカ大会は開催国チリが延長の末アルゼンチンと引き分けPK戦に勝って初優勝をした。アルゼンチンはW杯に続いて頂点に立てなかった。メッシは母国でタイトルから見放されている。サッカー人口の増加対策と観客動員を考えると連覇してほしかった。