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二次予選前半戦の天王山 シリア戦(連載第326回)

平成27年10月9日

※自作のサーモンの押し寿司。適当に作ったけど好評だった。
※自作のサーモンの押し寿司。適当に作ったけど好評だった。

大一番のシリア戦寸評

 昨晩のシリア戦は日本とっては大きな一戦だった。W杯二次予選では各グループの一位が最終予選に上がることが出来る。万一勝利を手にしなかったら自力での一位獲得は困難になっていた。

 結果は3-0の圧勝。しかしよく見てみると簡単な一勝ではなかった。前半は0-0のドロー。シリアの強烈なフィジカルが優位だった。ピッチの状態にも悩まされた。長い毛足の芝にボールは弾まない。やってはならないミスパスをボランチ、最終DFラインで行ってしまった。攻撃陣も岡崎、本田ともに決定機を外した。未熟なシュート続いた。シリアのリーチのあるタックルと芝に日本選手の体力は奪われていく。その上35度の暑さがアウエーの過酷さを助長した。前半0-0で終わったとき思わず感謝したい気持ちになる。

 しかし、後半万一ドローが続くと彼らのペースに陥ってしまう。早くからシリア選手はグランドに倒れた。GKも足が攣った状態が続く。後半明らかにもっと倒れこむだろう。彼らの時間稼ぎは常套手段である。後半開始サッカーの神様は日本に微笑んでくれた。長谷部のロングパスに岡崎がフリーで走りこんだ。彼は一度スピードを落として体を入れる。案の定シリアDFは体をぶつけて岡崎を倒す反則を犯してしまった。私は思わず叫んでしまう。「誰が見てもPKだ!」 岡崎の天才的PK獲得に本田がきっちりと決める。待望の先取点だった。

 これまで日本はPKやFKから得点が取れてなかった。それに対してハリルホジッチ監督はこの部門の「セットプレーから得点がないことは世界一」とうなっている。彼はPKをとる術を伝授したに違いない。そしてヨーロッパで揉まれ続けた岡崎の経験がこの日の先取点につながったのだ。

 二点目も岡崎の飛び込みからの得点だった。香川のゴールラインまでの食い込みが成否を分けた。この点の半分は香川のものである。そして三点目は途中交代の宇佐美があげる。監督は彼を先発させるよりも途中交代を選んだ。彼は途中からでも彼の持ち味を100%発揮してくれる。そのほうが敵には応えるのである。彼の出場とともに流れが変わる。スムーズな左からの攻撃がバルセロナのパスサッカーを彷彿させた。彼の敵を引き付けた一瞬のパスと変化を生む奪取にDFはついてこられない。

 三点目は本田とのワンツーで完璧に崩して得点をした。あっぱれな若武者である。日本が3点を取って勝利した。これにはシリアの戦術ミスも大きくかかわっている。前半のようなアグレッシブな戦いを維持するスタミナがなかった。中盤から最終ラインまでボールを運べてもフィニッシュの精度がイマイチだった。一度FKから直接シュートしてボールがポストに当たった以外は怖さは感じられなかった。

 明らかにシリアは引いて守備を固める戦法をとるべきであった。それを90分続けていたら何度かの速攻をものにすることができただろう。しかしシリアは引いてこなかった。前半の攻めはシリアが上だった。彼らはグループ一位を過信してしまった。もっとしたたかな戦術であれば昨日のゲームに勝利していただろう。

 日本代表は晴れてグループ一位の座を獲得した大一番のゲームだった。

国際マッチデー

 各地で予選が行われている。グループBのオーストラリアは敵地ヨルダンにおいて0-2で負けた。二位となった。グループCのカタールは中国を破って一位。グループGは韓国が敵地クウェートを破って一位となった。

各組の状況は以下の通りだ。

  1. A) 一位サウジアラビア 二位UAE
  2. B) 一位ヨルダン 二位オーストラリア
  3. C) 一位カタール 二位香港
  4. D) 一位イラン 二位オマーン
  5. E) 一位日本 二位シリア
  6. F) 一位タイ 二位イラク
  7. G) 一位韓国 二位クウェート
  8. H) 一位北朝鮮 二位ウズベキスタン

FIFA規律委員会

 国際マッチデーと相対してFIFA規律委員会は現状の会長職にあるブラッター氏と副会長のプラティニ氏に対して90日間の職務停止処分を科した。つまり来年二月まで暫定的に会長職を維持しているブラッター氏に事実上、即時停止を促したことになる。(ブラッター氏は度重なるスポンサーからの即時辞任を否定していた) また理事の一人である韓国のチョン・モンジュン氏に対しても6年間の停止処分と罰金10万スイスフランを科している。

 かつてフランスの将軍と言われて名声を博した名選手プラティニ氏(これに対してベッケンバウワーはドイツの皇帝) は現在ヨーロッパ協会(UEFA)の会長であってこの処分に対して服従しないと発表した。ドロドロの泥沼の様相になっている。汚さしか見えないFIFAの体質が世界にさらされた。

 最後に13日のイラン戦(国際親善試合)はケガのないことを祈っている。