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リオ五輪予選 女子サッカー (連載第347回)

平成28年3月1日

試合前のオーストラリア練習風景、日本サポーターが歓喜を挙げている。
※試合前のオーストラリア練習風景、日本サポーターが歓喜を上げている。

開始セレモニーでの国歌斉唱風景 審判団はイタリア人。
※開始セレモニーでの国歌斉唱風景 審判団はイタリア人。

円陣を組んでいざ出陣。
※円陣を組んでいざ出陣。

ゴール前で大儀見のマークは厳しい。
※ゴール前で大儀見のマークは厳しい。

ゴール前でのフリーキックのチャンスも精鋭を欠いていた。
※ゴール前でのフリーキックのチャンスも精鋭を欠いていた。

女子オリンピック最終予選

 寒空の観戦となった。何年ぶりだろうか?なでしこの観戦は二度目、以前は男子戦とセットの親善試合であったので後半少しだけ観戦した記憶がある。まずは今回の大会について紹介しなければならない。オリンピックの切符は二チームだけ、6チームの総当たり戦で上位二チームが選出される。参加国は、日本、オーストラリア、韓国、中国、北朝鮮、ベトナムで大阪長居の二会場で実施される短期決戦となっている。会場はここセレッソのホーム、キンチョウスタジアムと長居競技場・ヤンマースタジアムだ。この日もまた同時に複数のゲームが展開していて、長居公園周辺は多国籍化していた。

 本日の観客は五千人弱と寒空が響いて寂しい限りである。対面の長居競技場の南北朝鮮戦(1-1のドロー)も興味深かったが歓声は全く聞こえてこない。ここはタッチライン沿いにJRの高架線が走っていて明りの灯った電車がスピードを落として通り去っていく。ゲームは1-3で完敗だった。

大切な初戦を落とした責任は?

 最初に言っておかなければならないことがある。なでしこチームの新旧交代は全くない。W杯ドイツ大会で優勝をしたチームは、その時点を前後してピークだった。あの時から5~7年が経っている。やっている戦術の変化も乏しい。前回のW杯カナダ大会の準優勝もロンドンオリンピックも運が付いていた。世界もまた戦術の伸びが衰えていて助かったのだ。

 私は、なでしこ敗戦はこの日のスタメンを予想通り当てることが出来たことで意味している。何の迷いもなしに全員を当てたのだ。それほどチームは停滞していた。なんのサプライズもなくいつものメンバーだった。コーナーキックもフリーキックも昨年同様だった。宮間と中島の息も合っていない。ひとり大儀見が孤立している。サイドからのパスサッカーも中央でつぶされた。決して強いと思わなかったオーストラリアチームはなでしこの戦術を理解していた。

 そして言いたくないがこの日のレフェリーにも問題があった。主審、副審ともだ。主審は明らかにフィジカルファールを取らなかった。まるでイタリアセリエのリーグ戦並みのフィジカルコンタクトを見逃している。日本チームは体格の良いオーストラリア選手に再三倒された。腕を掴れたり、背中を肘で叩きつかれてもファールの笛は吹かれなかった。ただ足が絡むと笛を吹いた。線審はタッチラインに出たボールに対して一息ついてからフラッグを上げた。常に主審を見てジャッジした。自分の意志はあまり感じられない。

 最悪はオーストラリアの二点目だった。阪口の蹴ったボールを中央で主審が避け損ねた。ボールは頭を下げた主審のその頭に当たってナイスヘッドとなってオーストラリア選手の前に届いた。フリーの選手は容易く点を取った。私は思わず「なんじゃこれぇ!」と叫んでしまった。この日のなでしこはついていなかった。先取点を取れる機会は何度もあった。その時に取れないとサッカーの女神はそっぽを向いてしまう。

 ただ素晴らしいこともあった。10番を背負った大儀見(この日唯一の得点)の貫禄を感じた。そして一番印象的だったのは横山のプレーだった。途中交代で大野に代わって出場した横山はしばらく見ないうちに成長していた。体は一回り大きくなった。前線でオーストラリア選手に囲まれてもボールをキープしたし小回りもよくシュートも狙っていた。ポストプレーも果敢にやった。今後大儀見とのコンビが楽しみだ。彼女はユース世代のときにFIFAの年間ベストプレーにノミネートされている。奇跡のゴール前6人抜きシュートは今でも伝説である。

 本来なら彼女の様な若手が半分以上占めるチームであってほしかった。なぜなら若いチームには運動量と意外性が潜んでいるから・・・・。初戦の敗戦で最終戦の北朝鮮戦まで判らなくなってしまった。波乱が起こる。