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日韓戦勝利のタイムトリップ (連載第348回)

平成28年3月3日

試合前アップ練習のキーウーマンふたり
※試合前アップ練習のキーウーマンふたり

日韓戦痛恨のドローだけど・・・

 昨晩の日韓戦結果は1-1のドローだけどさしたる悔しさは感じられない。サッカーの信じられない出来事に唖然としてその魅力を噛みしめている。ほんとにサッカーは思いもよらないドラマが次から次へと差し迫ってくる。その面白さは格別である。

 このゲームもまたレフリーにやられた感が強い。しかし、観衆は怒らない! 絶叫しない! 日本の観衆はおとなしく優等生である。これが欧州やラテンでは大変な事件を巻き起こしてしまう。日本人は馬鹿正直でおせっかいだ。二試合続けてレフリーに異論を唱えたい。「ここはホームだろう」日本人のサポーターは暴言、暴力でなく唯一許されるアピールとしてブーイングを発するべきなのだ。

 このゲームのレフリーはニュージーランド人だった。彼女は近賀のハンドを宣告して韓国にPKを与えた。どう見てもPKではない。ゴール前で相手と競った近賀がグランドに倒れた時、地面にこぼれたボールと手が接触したのである。彼女はその手でボールをかき出したわけでもなく、ボールは不自然に移動をすることもなかったのである。ハンドの反則は選手が手を使ってプレーをすることである。スローモーションで見ることもなくこれら一連の行為はプレーオンである。

 W杯南ア欧州予選のフランス対アイルランド戦で誤審があった。タッチライン沿いでフランスのアンリ選手が外に出たボールを手で招き寄せてプレーを続行し直後にアシストをする。主審はハンドを見逃してしまう。ハンドとはこのことである。まあ、結果福元の冷静なセーブで韓国スーパースターのPKを止めた。きっとNZレフェリーはほっとしたことだろう。

 私はスタジアムに観戦に来たサポーターに言いたい。もっと怒れ!もっと主張しろ!暴言、暴力ではないアピールが出来るはずである。スタジアムは映画館ではない。私たちは12番目の選手であるのだ。

タイムトリップして日本勝利のシナリオは?

 許してもらえるなら時間を戻して日本が1-0で勝利したシナリオを紹介したい。PKを止めた後の韓国の反撃はすさまじかった。日本はいなすことが出来ずにずるずると引いてしまう。ゴール前に浮き球が来ることは予想できた。GK福元は謙虚になるべきだった。あの時点ではボールキャッチでなくパンチングで逃れることだった。これまでの対韓国戦のプレーの評価もあって福元が先発した。そしてPKも止めた。ゴール前の浮き球をキャッチすれば韓国の攻撃は途絶える。しかし結果はボールを落としてしまう。ここで彼女はパンチングする勇気がほしいところだった。

 ボールを落としてしまった時点からも日本勝利のシナリオはある。韓国のストライカーが振り向きざまにシュートを放った。右ポストで守備にいた近賀が狭いシュートコースに手を使ってでもボールを弾き飛ばすことだろう。この時点では後半立て続けにハンドでPKを与えた悲劇のヒロインになるだろう。レフリーは一発レッドで近賀を退場させる。後はPKの再現だ。韓国のスーパースターは今度のPKを蹴れないだろう。福元の威圧が上回る。シュートを放ってPKを獲得したストライカーが蹴ることになる。

 彼女はさっき同輩が失敗したシーンが脳裏をゆらぐ。こんな時キッカーの選択はゴールに向かって思いっきり蹴ることである。GKの脇であってもシュートに威力があればゴールインする。GK福元は冷静に仁王立ちしていればよい。何も動かずに信じることだ。キッカーには力が入る。余計な力が加わってしまう。そしてボールは高々とゴールの上を通過するのである。

 日本は一人少ない10人で最後の数分を戦って逃げ切るのである。そして悲劇のヒロインはこのゲームをものにしたヒーローとなるのである。これが私の勝利のシナリオである。ばかばかしいかもしれないが、実際にあったシーンでもある。W杯南ア大会でウルグアイのスアレスがやった出来事である。サッカーはシナリオのないドラマである。だから全世界数十億の人々が熱狂をする。日本人もその仲間に加わってほしいものだ。

 なでしこジャパン対中国戦ガンバレ!