京都新聞社TOP

新しいスタート (連載第349回)

平成28年3月10日

試合終了後スタジアムに向かってあいさつをするなでしこジャパン
※試合終了後スタジアムに向かってあいさつをするなでしこジャパン

終わってみれば

 ベトナム戦を会心の勝利でおさめ最終戦の北朝鮮を接戦の末1-0で有終の美を飾ったなでしこジャパン。しかし結局あの中国戦での負けが響いた結果となった。

 現在のアジアの勢力図どおりオーストラリア、中国の二国にリオの切符は切られた。大会前、格下相手のチームという表現が目立っていた。今となっては誠に失礼な表現である。メディアにも責任を感じ取ってほしいものだ。格下とはFIFAランクの順位を取って言っている事であろうがそのFIFAランクの当てにならないことは百も承知であるはずだ。良い時はFIFAランクを取り上げる。悪い時はFIFAランクの無意味なことを言う姿勢はサッカー文化の成熟にとって良くない。

 数か月以上前にさかのぼって最終予選が大阪一か所に決定したとき、これでリオは確定と思ってしまった。私だけでないと思う。それ自体が誤りであった。自国での集中開催でふたを開ければキンチョウスタジアム一本で夜7時半のキックオフが日本だけに当てはまっていた。テレビ放映の都合であろうが、環境が一本化するのは選手にとってはやりやすい。

 しかし男子の予選が中東で熾烈極まりない日程で開催されている間、女子の対外試合は組み込まれてこなかった。もちろん大半のアジア上位のチームが今回の最終予選に名乗りを上げているが、探してみたらタイ、ニュージーランドなどのチームを招請することは出来たはずである。キンチョウスタジアムに観客を入れて強化試合を組むことは必要なプランだった。二試合でベテランと若手を試すことが出来たのである。

 協会関係者、監督、選手を含めて心の底に大丈夫だと思う油断が存在していた。初戦のオーストラリア戦を観戦して先発組に新しい顔が存在しなかったことを危惧していたが、そのとおりの結果に終わってしまう。ほとんどのメディア多くのサポーターが言うとおり新旧交代のないマンネリ化したチームと戦術であったこと・・・・最大の敗因であろう。

 監督も解っていただろう。でも容易く切れないのが人情である。リオの切符を取れなかったという重い結果を受けなければ改革は出来ない。ある意味新生なでしこに不可欠な敗退だったような気がする。

最終戦の勝利が新生なでしこの船出

 昨晩の雨の長居での北朝鮮戦の勝利が新しいスタートと言いたいところである。19年のフランスW杯、20年の東京オリンピックへの短い道のりが始まった。ユース時代で素晴らしい素質を見せた横山が今大会で活躍した。同じ年の岩淵が三得点を取った。若い二人と新10番のユニホームを背負った大儀見の活躍が慰めとなった。野洲出身の中島、左サイドの有吉の運動量にも感銘している。

 何人かのベテランが引退するという。私は大事な判断は気を落ちつけてからすることが必要であると思っている。勢いに任せて言う言葉ではない。澤さんのように熟慮を重ねてからで良い。

 最後なるが、いつも気がかりなプレーがある。新生なでしこからは是非やめてほしい。それはマイボールでのキックオフ直後のプレーでボールを後方に流してFWがゴールへ向かって走りこんで行く。中盤の選手がスルーしてボランチの選手が大きく相手ゴールめがけて蹴りこむ場面である。ほとんど100%このボールは相手に取られてしまう。ボールを相手サイドにおいて攻めたい気持ちは判るが無意味である。私は最初からパスサッカーをすべきだと思っている。キックオフからビルドアップしていく戦術を考え出してほしいものだ。

 そしてこの章の締めくくりに東京オリンピックでは是非とも澤監督が誕生してほしいと望んでいる。新生なでしこガンバレ!