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受け入れ難い結果 (連載第370回)

平成28年9月2日

我が家の司令塔もへばり気味!
※我が家の司令塔もへばり気味!

ホームであってホームでない

 私がいつもゲーム開始前に気を付けていることがある。以前にもコラムで何度か紹介した3つのポイントである。まず1つ目のポイントは、先発メンバーである。先発と選手の配置で監督の意図したものをくみ取ることが出来る。この日は前三人が岡崎、本田、香川といった常連組だった。それにスペインリーグ移籍後活躍している清武が加わった。守備は吉田と森重のコンビに両サイドに酒井を配置した無難なメンバーだった。ただボランチに起用された長谷部の相方は先日リオ五輪から帰国した大島だった。唯一の真新しさは大島だった。

 第2のポイントはスタジアムの状況だ。スタンドは6万人近い大観衆で埋め尽くされている。ピッチの状態、天候ともに最高の雰囲気を醸し出していた。第3のポイントはレフェリーである。この日はカタールの審判団で構成されていた。この時点でいやな気分になった。先日「心配事の9割は起こらない」と言う書籍を買ったが実際心配事は起こってしまった。私は俗に言う「中東の笛」を嫌っている。その理由は過去にも名勝負で多々嫌な目にあって来たからだ。

 所詮アジアの東の端の日本とアジアの西の端とでは価値観は全く違っていて当然だろう。しかし規律と和を重んずる日本では到底理解できないのである。保守的な考えかも知れない。「だからホームであってホームでない」と言っている。これにも他にも原因があるので次に移ろう。

UAEの強さ!

 本田が先取点を取った時点で勝利の女神が日本に付いたと信じた。しかしUAEは強かった。何が強いかフィジカルと精神力である。それにうまさがあった。要注意選手のオマルは決定的な働きはなかったけれど要所に彼のうまさを見せてリズムをUAEに引き戻していた。彼のセンスと独特のボールタッチは日本人にはないものだ。彼は窮地にいるときは、はっきりとしたプレーで日本DFの裏をかく。そのプレーはわざと背の低いオマルながらボールを高く蹴り上げて浮き球にする。わずかな空間と時を稼ぎたす戦法である。

 そして小柄を生かして移動しフリーになるのである。その時ボールは自然とオマルの足元に吸い付く。これは良くブラジルの選手が使う高度なプレーである。かつては小野、中村、松井と言った日本人選手も使った。彼らは日本人離れしたファンタジスタと呼ばれていた。

 前線のハリル、ハマデイのシュートは重さがあった。体重が乗った大変重いシュートを打った。最初の失点の直接FKでよくわかった。そしてGKエイサの俊敏性と強さは日本人にはないものだった。持って生まれたDNAが違った。そしてあざ笑うようなPKの得点。GK西川には想像もしないPKのキックだろう。キーパーは違っても前回アジアカップで苦渋を飲まされたオマルのキックと同様に必死の顔相の西川の意表を突いた緩い正面へのキックだった。西川には余裕はなかった。彼らは心技ともに強いという所以である。人間力の差を見せられた。

日本の選手の弱点

 いつも感じることがある。なんで日本人選手は一瞬の変化に対応できないのだろうか?この試合でも何度となくゴール前でつんのめる体制でコケる選手を見かけた。頭と体が上手く反応せずにボールの速さに付いて行けない。浅野のようにフリーでもボールの芯をとらえることが出来ない。この理由はなんなのかを突き止めて、対応策を見つけることが先決である。いくらサッカーが上手くても組織力が素晴らしくても接戦をものにするにはきわどいプレーでも反応できる体が必要になる。

 日本の選手は全般に体が硬い。瞬発力が弱いし、体幹のバランスが悪い。それらを克服するためには他の競技から学ぶことだろう。私は水泳の水中ターンが良い練習になると思っている。特に理由ないがバランスや柔らかさが必要だろう。そして体操の跳馬やトランポリンも有効のように思う。日本代表を強くするために他のアスリートに助けを請う。

私達が出来る事は!

 私達が出来ることは何かないだろうか? それは本当のホームにすることだろう。審判の大半はきわどいPKを取られたチームにも同様にPKを取って帳尻を合わそうとする。この場合後半の宇佐美がペナルティエリア入ったところで相手DFの仁王立ちの体にぶつけられて倒された。きわどいプレーであったがボールは宇佐美がコントロールしていた時点で相手のファールであった。しかしカタールの主審は笛を吹かなかった。

 ハリルホジッチ監督の執拗な抗議に主審は毅然とした態度であった。この場面では日本の大観衆が大声でレフリーにブーイングをすべきである。そしてここはホームであることを知らしめることだろう。乱入する熱血サポーターも現れるべきかも知れない。6万人が冷静になる必要はなかった。ゲームを中断するような抗議の嵐がスタンドから起こるべきだろう。そしたら次に起こった浅野の幻のゴールも得点だったかもしれない。それは後半32分にゴール前でクロスが飛び交って浅野がフリーでシュートした。しかしボールへのインパクトが弱くてGKエイサによって搔きだされてしまった。テレビ画面ではボールはゴールラインを越えている。確かにそう見えた。

 この大会では第四の審判の配置もGLTの設備もない。最先端テクノロジーの日本でもこの装置はない。決局議論の余地もなく浅野のゴールは問題外だった。この時もまた出来るだけのブーイングで大観衆が「ゴール!ゴール!」と叫ぶことだろう。そして放送設備の担当者は大型ハイビジョン画面で何度もこのゴールシーンを繰り返し流すのである。選手も観衆もおとなしい日本では世界からバカにされる。

 そしてもう一つ、招へいしたレフリーに対して協会側は出来る限りの時間を通して説明することだろう。勉強会でも審判交流会でも良い。それは過去に受けた誤審、曖昧な中東の笛をビデオで見せながら説明すべきだろう。そしてここは日本のホームであることを肌で示すべきなのだ。GLTの導入もAFCで発言すべきだ。何かにつけて日本の発言力が問われる時代である。

 一番大切なことはこんな状況に立ち向かう勇気を持った若い世代を作ることである。いろんな分野で場面ではっきりと自信をもって立ち向かえる若い人々がほしい。それを認める社会の必要性を感じる次第だ。

 最終予選は始まったばかりだ。一喜一憂せずに自分たちが出来ることをやろう!
日本のライバルは勝っている。韓国3-2中国、オーストラリア2-0イラク。

PS   JFA(日本協会)はAFC(アジア協会)に不可解なレフリーの行為に抗議文を出した。
しかし、これで勝ち点が覆ることはない。