京都新聞社TOP

アウエーでの大勝利 (連載第387回)

平成29年3月24日

※悲劇の舞台になってしまった。
※悲劇の舞台になってしまった。

完全アウエーでの大勝利に酔う 2-0

 昨晩の余韻が脳裏に残る。ロシアW杯最終予選の折り返しクールの初戦はホームで負けたUAEが相手だった。思い起こすと昨年の大事な初戦、中東の笛で敗戦した。本来なら2-2のドローだったが浅野のゴールが認められずに悔しい負けを喫してしまった。あの時の屈辱を晴らすにはUAEホームで今度は勝つしかなかった。考えてみれば初戦のつまずきは痛かった。それが現在Bグループの混戦状態を表している。このままずっと引きずっていくとロシア大会から遠ざかる一方であった。

 だからこのゲームで決着するしかなかった。今年の長いロードが始まる初戦でもあり新旧交代の初戦でもあった。大切な大切なゲームのキックオフ。このゲームの注目点をおさらいしよう。まずは審判団である。中東でも東アジアでもなく西アジアのウズベクのレフェリーで世界的に注目している優秀なる人物だった。彼は最後までヨーロッパのレフリーのようにキレのあるジャッジをしていった。最初の警告はUAEに対してだった。公正で明瞭な笛は日本チームに安心感を与えた。

 第二にピッチ状態は良であった。幾分か芝が長いと思ったが均一にカットされていてグランドのうねりもなかった。砂漠の中のスタジアムにしては良と言えた。気温は高く湿度はない。つまりカラカラ状態である。ようするに水分補給を欠かせないゲームになる。今年の予選の最終ゲームは灼熱の中東でアウエーのサウジ戦である。その時のピッチの気温を考えると途方もなく悲観的になる。

 だから最終戦までにBグループ二位以内を確保する必要がある。日本にとって最悪のシナリオは最終戦までもつれることだった。そして最悪のシナリオには続きがある。三位になってプレーオフに移った時の相手が韓国と当たることである。Aグループの韓国もまた厳しいゲームを強いられている。昨日の中国戦に0-1で敗戦している。プレーオフの三位を避けるためにも最終戦までタイ、イラク、オーストラリアに負けられない。そしてUAEにはそれ以上に負けられなかったのである。

絶賛する日本代表

 日本はいつになく落ち着いた入りをしている。自軍ゴール前では反則をしない。高い位置でボールを奪取する。一人が行くと二人目、三人目も突進する。これらはすべて味方を信じることと勇気のあるプレーだった。ただ引くのみでは負ける。前に行くことが唯一の道だった。それは一言に言えば「連携」だった。代表で注目した選手は得点した新人23歳の久保と再招集に驚きを隠せなかった34歳の今野だった。彼らの素晴らしさは私が言うまでもない。

 しかしここで称えたい選手は他に三名いる。一人は今野とボランチの相棒を組んだ山口蛍である。彼の献身的で積極的な守備のプレーが今野をフリーで前線に送り出すことが可能とせしめた。二人目はワントップの大迫である。途中負傷するまでのポストプレーは九分九厘成功している。これが日本代表に余裕を与え、攻撃の起点を構成することになる。特にヘッディングにおいてもワンテンポ遅れて両足で地面を蹴るようなジャンプでボールを頭に収めたプレーは頭脳的で見事だった。もちろんシュートも打った。彼はなんでも出来るFWへと成長している。

 三人目はGK川島である。久々の代表のマウスを守る守護神として復活した。決定的なシュートを二度防いでいる。あれがなければ2-2のドローになっていた。私はこの三人が影のMVPとして称えたい。

世代交代

 世代交代は着実に進んでいる。本田、香川、長友のプレーには往年の精彩は感じられなかった。しかし、必死でプレーする彼らの姿は脳裏に焼き付いている。彼らが必死になればなるほど世代交代が進んでいることを感じてしまう。これが現実で世の常と言うことだろうか? 悲しい現実と勝利に酔いしれた昨晩だった。