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驚嘆のチリとメキシコ (連載第395回)

平成29年6月27日

シンガポールの夕闇 行き交う車の遠景にラッフルズプレイスの高層ビルが映える
シンガポールの夕闇 行き交う車の遠景にラッフルズプレイスの高層ビルが映える

コンフェデ杯の2チーム

 私が驚いたのは南米代表のチリと北中米代表のメキシコの2チームだ。前もって言っておきたいことがある。それはこの2チームは我が日本代表がお手本にすべきチームであり、体格、パスワーク、フィジカル、頭脳ともに日本が唯一学べる世界屈指のチームであると思うのである。現在Aグループは一位がポルトガルで二位がメキシコ、Bグループは一位がドイツで二位がチリで準決勝に勝ち進んでいる。

 準決勝は明日(日本時間29日午前3時)、ポルトガルとチリが対戦し、もう一方はドイツがメキシコと対戦する(同30日午前3時)。ユーロを初優勝したポルトガルがここ数年南米一のチリと対戦する。そして前回W杯優勝チームで世代交代途中のドイツとコンフェデ杯優勝経験のあるメキシコが対戦するのである。 どちらが勝つかは分からない。しかし決勝のチリ対メキシコが私の密かなドリームなのである。

日本が見習うべきチームはメキシコ

 かねてより元日本代表選手で現在テレビ解説者が複数人、日本が見習うべきチームにメキシコを当てている。メキシコはW杯やオリンピックの常連で必ずや一次リーグを勝ち進んで決勝トーナメントに名を連ねている。GKからのビルドアップが始まる。絶妙なパスワークと個人技で大男たちの股座(またぐら)をかいくぐっていく、時にはワンタッチパス、時にはタッチラインをドリブルで突破する。そして完璧なシュートを放って仕事を終えるのである。

 すべての選手が小柄である。でもヘッディングはうまい。試合の進め方、ファールの仕方、挑発と言ったマイナス面でも優等生である。忘れてはならない選手がいる。前回W杯ブラジル大会ですい星のように出てきた選手だ。GKオチョアにFWエルナンデスである。彼らは四年後もまた輝きを保っていられるのである。

チリのサンチェスがナンバー1

 私のイチオシはチリのFWサンチェスである。彼は小兵ながら筋肉の塊のような体をしていて小型SLのように突進する。ボールは足の裏に吸い付く吸盤を持っているのか、大柄相手DFを跳ね飛ばしながらゴールへ向かっていく。そう長友の完成形かも知れない。今しがた左サイドを駆け上がったと思うと今度は右サイドにいる。ディフェンスもしっかりこなし、中盤でボールを取られずに前線に運ぶ。献身的であり職人気質でもある。

 チームは南米独特の個人技の宝庫だ。DF陣は体格がよく、欧州の相手でも高さで対応できる。攻めるときは全員が攻め上がり、守る時は前線からボールを取りに行き高い位置で奪取するのだ。全員が走り回り、献身的にチームに尽くす。そのプレースタイルに共感している。ただ悪い癖がある。ゲーム終盤まで体力が心配になるし、ラフプレーでカードを切られるのである。つまり自滅するリスクが他のチームよりも多い。しかし見ているうえでは大柄欧州の選手をやっつけてくれるチリの選手は頼もしい。私はチリが大好きになったのである。

VARビデオアシスタントレフェリー

 ビデオ判定のことをVARと言っている。今回の大会で本格的に導入された。現在のところ成功していると言っても良い。あれはPKかもしれない? 今のはオフサイドでノーゴールだろう! と言った疑問があった。もちろんレフェリーの眼にも限界がある。多くのレフェリーは流れの中で判定していった。しかし、現在VARを要求することによって複数の高角度カメラが判定してくれる。

 確かに主審の権威は地に落ちた。ビデオ判定をじっと待つ主審の顔は間抜け面に映っているし大型ビジョンに再現されたシーンを全員が見ている光景にレフェリーは存在しない。私たちは真実を知りたい。ファウルは本当にあったのかどうかだ。全員が納得して仕切り直しのホイッスルがレフェリーによって吹かれる。今回もしばしばVARによって得点が取り消された。来年のW杯ロシア大会はGLTとVARの導入によって革命的な大会になるであろう。

 最後に心配なニュースが入った。一連のロシアドーピング問題がロシア陸連、テニスのみならずサッカーチームにも存在しているという事だ。もしも事実ならばW杯ロシアチームはいったいどうなるのか? そして大会自体がどうなるのか? FIFAの調査報告が待たれる。