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優勝は新生ドイツ (連載第396回) 

平成29年7月5日

シンガポールと言えばマーライオン
シンガポールと言えばマーライオン

コンフェデ杯優勝は若いドイツチームだった、その前に

 コンフェデレーションズカップは表向き成功裏に終わった。大会運営、スタジアムの整備、新しく導入されたビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)も機能した。数か所のスタジアムをテレビで見たが(モスクワ、サンクトペテルブルグ、サガン、ソチ)ほぼ問題のない状態であった。来年の同時期に開催されるW杯ロシア大会は人的要因がない限り成功するだろうと思われた。新築、改装されたスタジアムも現代的に明るく、ピッチは見やすく、ボールはイレギュラーなく美しく運ばれた。FIFAも世界一流の施設の出来栄えに満足の事だろう。

 大会はチリ対ドイツの決勝でロシア第二の都市サンクトペテルブルグで開催された。結果は1-0でドイツがチリDFのひとつのミスを簡単にゴールした虎の子の一点を死守して逃げ切った。ゲームはチリの圧倒的ボール所持率が示す通り、チリ優位で進んだ。得点できるケースも多々あった。しかし、不思議とゴールネットを揺らさない。チリは高い地点からドイツを攻めて追い回した。ドイツゴール前まで見事なパスワークと個人技で攻め立てた。チリは誰も負けるとは思っていなかったことだろう。

 国では史上最強のチームと評されていた。確かに南米随一のチームは完成度の高いチームだった。サッカーはそれでも勝つことが許されないボールゲームである。チリのたった一つのミスを狙っていたドイツMFスティンドルによってゴールを割ったのだ。無名の新人チーム、ドイツBチームと揶揄(やゆ)された今回のドイツ選手たちをレーヴ監督が一流にのし上げた。一試合ごとにチームは強くなった。

 しかし、それにしてもチリのサッカーは見事だった。彼らは一番難しいことをやってのけた。それは普段以上に実力を出すことだ。彼らはケガを臆することなく目いっぱいのスピードで体当たりをする。その根性が準優勝まで押し上げていった。来年のW杯、チリは上位に来るだろう。しかし、ドイツは分からない。ドイツは今回招集されなかったベテランと今のチームをもう一度合体させることだろう。それはW杯がコンフェデ杯以上に長丁場の大会であるからだ。ベテランなしには乗り切れないと思う。

三位決定戦はポルトガル対メキシコ

 三位決定戦に先んじての準決勝、ポルトガルはチリに延長の末、PK戦で敗退した。それもPK戦最初からの三発をすべて外しているのだ。三位決定戦、ゲーム途中でPKを取っている。しかしメキシコのオチョアのナイスセーブで止められた。つまりPKを4連続失敗していた。メキシコ有利の1-0、後半アディショナルタイムに千金のゴールをペペの突進から生まれる。

 延長に入ってまたしてもポルトガルはPKを獲得する。これはVARの判定からメキシコDFのハンドが確認された。呪縛が解ける一瞬だった。ポルトガルのシルバがこれを決める。通算5度目のPKが決った瞬間だった。しかし、そう簡単にタイムアップにはならないはずだった。終了前にポルトガルDFがメキシコFWを倒してのシーンが映し出される。一瞬PKの笛が吹かれてもおかしくない雰囲気だった。しかし主審は笛を吹かないしVARも要求しなかった。メキシコ陣営からは激しいブーイング。主審はベンチに向かって退場を告げる。

 私はなぜ主審は再度VARを要求しなかったのか疑問に思っている。もしVARで判定していればメキシコにPKが与えられた可能性は高い。しかし主審は要求しなかった。VARはその名の通りアシスタントレフェリーなのだ。主審が要求しない限りビデオ判定にはならない。それが、VARに対する不安要素でもある。今度はVARを要求する・しないが大きな疑問として登場したのだ。他のスポーツでは各チームが何回か要求できるシステムがある。サッカーにおいてはどうするのか、知恵を出す時が来ている。

 コンフェデ杯は今回で最後だと言われている。しかし大変重要なチェック機能を持っているこの大会を失くすのは惜しい。後は日本が次戦のオーストラリアに勝利してロシアへの切符を勝ち取ることにある。真夏の二カ月にやることは多い。