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代表候補発表 (連載第399回) 

平成29年9月1日

オーストラリア大陸中央に位置する世界遺産のエアーズロック。ウルル国立公園。
オーストラリア大陸中央に位置する世界遺産のエアーズロック。ウルル国立公園。

運命の一戦にしびれる

 ハリルホジッチ監督が戦前に言った通り歴史に残るゲームとなった。2-0という理想的なゴールと完封勝利でW杯本戦の切符を勝ち取った。今夜しばらくは日本人として誇りに思うことだろう。

 まずは、ハリルホジッチ監督の先発選手のことだ。日本人監督だったらスペイン一部リーグから呼びよせた柴崎を外して経験の少ない井出口21歳を使うだろうか? そして若手一番の久保を差し置いて浅野を使った。左には乾を起用している。この布陣は日本人監督には到底できない。今一番生きの良い若手を起用する。特徴のある選手を相手の弱点に付くという選出だ。

 オーストラリアは3バックで中盤を厚くしてボールを支配していく戦術だ。3バックの特徴は左右サイドの裏のスペースが大きく開いてくることだ。そのスペースをスピードの浅野とドリブルの乾で突破するということだ。そして見事にそのとおり選手は動いてくれた。

 次に日本代表にはズバ抜けた運動量があった。さぼる者は誰もいなかった。最後まで走り回った。守備に攻撃に若者は無心に走り回った。ピンチを消し、チャンスを生かした。そして番狂わせは、ケガで心配された大迫が間に合ったのだ。彼のワントップは芸術的だ。大変難しいポストプレーで体を張ってキープした。その結果日本にはリズムが生まれ、攻撃のチャンスを増やすことになった。

 守備も良かった。失点ゼロで抑えることができた。最後まで体を張ったプレーに終始した。体を投げだして守備をした選手が幾重にもゴール前で壁を作った。そしてオーストラリアのシュートを弾き飛ばす。ベテランの長友も精一杯走り回っている。復帰した長谷部も頑張っている姿がはっきりと見て取れた。彼らが背負っている人生が見えた気がした。

 山口蛍、井手口の半端でない動きは、初めて見る崖っぷちの戦いを制した若武者たちだった。そしてここには本田や香川はいなかった。時代は確実に若い選手へ移行している。彼らの雄姿はもう見られないのかと思うと少し複雑な気持ちになった。今日の勝因はオーストラリアの戦術を読んだことだ。生きの良い若い選手を起用するというドラスチックな判断だろう。

 隣国韓国も崖っぷちな戦いをしている。今夜9時キックオフだ。韓国はイランとホームで戦う。最終戦は敵地ウズベク戦を残している。日本同様厳しい局面である。明日の結果が楽しみだ。