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W杯アジア最終予選 ラストゲーム (連載第400回) 

平成29年9月6日

イタリア ベニスの街角、何度行っても不思議な街だ。
イタリア ベニスの街角、何度行っても不思議な街だ。

最終戦サウジアラビアでテストすること

 今朝サウジアラビアのジッダで二年間にわたる長い予選の幕が閉じた。先週ホームで完璧なゲーム展開でロシア大会本戦の切符を獲得した日本代表であったが、長谷部と香川が離脱したチームが完全アウェーの地で戦った。結果は0-1で負けてしまった。湿度と気温が高い上に風のないピッチコンディションであった。オーストラリア戦で決めておいてよかったと誰しもが思ったことだろう。

 幾度となく言った通り、完全アウェーの中東で勝利できるほど日本はタフではない。何かをテストすべき消化試合だった。これまで以上に新陳代謝の必要な現在のメンバーを貴重なサウジ戦で試してみることだろう。しかし、先発に本田と岡崎が戻っていた。そして、彼らはやはり肝心のチームコンディションに適応していなかった。今のチームはスピードとテンポの良さがウリである。それを全員が共有してこそアジアナンバーワンの地位を築ける。

 まさに使う選手はDFでは吉田を下げて鹿島の植田だろう。コンビを組む昌子との相性も見てみたかった。思い切ってガンバ大阪の三浦も見たかった。W杯の長い戦いの中で吉田が使えなくなった時の準備が必要だろう。FWでは武藤だけが起用されなかった。先発に杉本を起用することもテストとして必要だった。テストと言えば三位のオーストラリアには悪いと思われるが、熱帯アウェーの地で中4日のゲームなら選手を変えることは常識だ。(A組は韓国が敵地でドロー。二位を確保した。三位のシリアとオーストラリアがプレーオフに回った) 真正面に戦う必要もない完全アウェーだと思っている。招集した以上使えるところは使うべきだろう。その点が日本人の感覚とハリルホジッチ監督の感覚とは違っていた。

ベテランの引退

 過去のスターを思い起こしてみようか? 98年フランス大会の合宿で三浦カズがメンバーから外された。彼は31歳だった。当時の岡田監督は最後まで同行を申し出たが彼は代表から離れ、同僚の北沢と欧州をさまよう。06年ドイツ大会の一次リーグ無残にも敗退したピッチで泣き崩れる中田ヒデはその後引退を告げた。29歳だった。10年南ア大会に選出された中村俊輔は出番なく、ベスト16に輝く栄光の中、ひっそりと引退を決意した。32歳だった。

 そして、現在の日本代表、レースで例えればスピードを争うオートレース場で一人トラクターのように動く本田圭佑は31歳。来年32歳となる。メキシコの地で再起を誓うのか、それとも自ら引退を口にするのか、一体どちらが本田の望む美学なのだろう。ただ言えることはどう頑張ってもトラクターがハーレーにはなれないことだ。