<4> 硬球握り下地づくり
  

 「甲子園に出て、プロ選手になりたい。自分の目標に近づくために硬式を選んだ」。京都市山科区の花山中2年、岸田一等君(14)は硬球を使うボーイズリーグ「京都ライオンズ」の主将だ。好きな選手は同じ左打者のイチロー。どんな球にも適応する柔軟なバットさばきが参考になる。  
硬球で練習する京都ライオンズの選手。高校野球でも硬式出身者の活躍が目立ってきた(京都市西京区・京都女子学園グラウンド)

 1983年夏、中学生の硬式野球が話題を集めた。甲子園を制覇したPL学園高(大阪)の中心選手、清原和博と桑田真澄(現巨人)は当時1年生。早熟に見えた2人のスターは、実は中学時代の硬式リーグで下地がつくられていた。

 14年前に発足した京都ライオンズは多くの甲子園選手を輩出している府内の強豪。マイクロバス3台、運搬用トラックや打撃マシンなどを所有する「球団」だ。土日と祝日が練習日で、月会費は11000円。中学1、2年生たち約60人が京都市や周辺地域から集まってくる。

 指導に当たるのは社会人野球を経験した6人のスタッフ。森井洋一監督(54)=西京区=は「プロでも、高校でも基本は同じ。成長期で一番大切な中学時代にきちんとした野球を教えたい。まずは高校野球で通用する選手育成を意識している」という。

 軟式野球が生まれた日本では、小、中学生が軟球よりも重い硬球を握ることに「肩、ひじを痛める」「成長期の体に良くない」と言う意見が根強かった。しかし、森井監督は「正しい投げ方を教えれば問題はない」と言い切る。故障につながるような基本から外れた投げ方は厳しく修正する。

 京滋の高校野球でも近年、中学で硬式を経験した選手の活躍が目立っている。府内のベテラン監督は「10年前は入部者の3割程度だったが、今は半分ぐらいにまで増えた」と明かす。甲子園への近道として、選手は夢を追い、親は期待を寄せる。

 岸田君は学校の部活には入っていない。平日は自宅近くの公園で、コーチが作成した練習メニューを一人で黙々とこなす。「硬い球には慣れた。高校に入ったら、すぐにプレーしたい」

 <メモ>  硬式の少年野球は、リトルリーグ(中学はリトルシニア)が1955年に創設された後、ボーイズリーグ、ヤングリーグなどが始まった。小中合わせ約500チームが加盟するボーイズリーグだけでも出身の現役プロ選手は111人(大リーグを含む)を数える。

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