■京都・滋賀の防災特集 紙面連載

レジャーの水害対策

夏休みが始まり、川遊びを楽しむ子どもたちが増えてきた。自然に親しむ良い機会だが、天気が急変したり、局地的豪雨で水位が急上昇したりして犠牲者が出るケースもある。五感では分かりにくい上流域の気象情報を、ほぼリアルタイムで把握できる観測網も構築されている。命を守るため、活用できる最新技術と先人たちの経験則を、家族で確かめておきたい。

水位上昇 10分で1メートル超も 豪雨・増水 スマホで点検

 京都市中京区の鴨川右岸で毎年8月初旬に催されるイベント「鴨川納涼」。多くの市民が川べりの情緒を味わう夏の風物詩だが、2004年は午後6時のオープニング直前に河川敷が水没し、開催を一日延期せざるを得なかった。上流での集中豪雨が原因だった。

 当時、現場に居合わせた「鴨川を美しくする会」の杉江貞昭事務局長(70)は「夕立程度と思っていたのに、水位がみるみる上昇し、膝下あたりまで水につかった」と振り返る。

 遊んでいる場所では晴れていたり小雨だったりしても、日本の川は距離が短い上に勾配が急なので、上流から水が一気に押し寄せがちだ。神戸市の都賀川で08年7月、小学生ら5人が流され死亡した事故では、水位が2分以内に約1メートルも上昇していた。

 京都府内も例外ではない。水際に降りられる階段や飛び石、散策路など「親水施設」がある河川のうち、10分間で水位が50センチ以上上がった記録が残る河川は11もある。京都市と向日市を流れる小畑川が164センチと最大で、天神川(京都市)の154センチ、小泉川(長岡京市、大山崎町)の134センチが続く。

 レジャー中の水害は繰り返されてきた。神奈川県・玄倉川では1999年8月、警察から避難するよう求められたのに、中州でキャンプを継続した親子ら18人が流され、13人が死亡した。昨年6月には増水した岐阜県各務原市の木曽川で、川遊び中の小中学生3人が流されて死亡している。

 では、上流の天候や水位の急上昇をどう予測すれば良いのか。

 国土交通省が運用している気象観測網「XRAIN(エックスレイン)」を活用すると、雨雲の動きを確認できる。レーダーを照射して上空の雨粒を把握する仕組みで、250メートル四方の広さで1分前の雨量の分布が分かる。京都府と滋賀県の上空を網羅し、スマートフォンからも利用できる。

 府内の河川135地点の水位を10分おきに紹介する河川防災情報も便利だ。府のホームページで見ることができ、水位の増減や雨量が一覧表になっている。氾濫注意水位や避難判断水位も記され、府河川課は「水防団待機水位を越えたら直ちに川から離れて」と訴える。

川と空 様子注視して

 インターネットに接続する環境になければ、何を判断材料にすれば良いのか。

 京都市消防局の西田誠消防司令長(53)は「晴れていても、落ち葉や流木は川の状況が変化しているサイン」と話す。増水の兆候として▽上流の上空に黒い雲が集まる▽風向きの変化▽雨が降っているのに水位が下がる-などの事象を挙げ、「飲酒は避けて、ライフジャケットを必ず着けよう」と呼び掛ける。

 京都YMCA(中京区)野外活動部主事の中村彰利さん(39)は「川では膝から下の水位でないと思うように動けない。棒や木の枝を使って常に水位の確認を」と話す。活動前は天気予報で警報が出ていないか調べ、地元の気象台にも問い合わせているといい、「予定を切り上げたり、中止することも大切です」。

【2015年07月28日(火)付京都新聞朝刊より】