The Kyoto Shimbun News


08月07日(木)

暑さ和らぐ

 日本の夏の風物詩「蚊取り豚」。丸みを帯びた円筒形の陶器に一つの大きな穴と、二つの小さな穴。愛らしく、とぼけた表情に暑さもちょっと和らぐ。万古焼の産地、三重県菰野町の「松尾製陶所」では、蚊取り豚づくりが最後の追い込みだ。
 絵付けを担当する加藤貴代子さん(63)は、この工房で万古焼の仕事を始めて30年余り。慣れた筆遣いで1匹、1匹とカラフルな子豚たちが生まれていく。多い日には200匹以上が誕生。「こんな地味な仕事、若い人はやらないよね」と、絵筆を走らせる。
 「梅雨がなかなか明けなくて今年は大変だった」と言うのは松尾徹也さん(50)。この仕事を始めて今年で30年を迎える。松尾さんの工房では成型以外は手作業で行うため、完成までに1週間から10日間かかる。今年は長雨の影響で乾燥の時間がかかり、例年よりもひびや形崩れが多いという。
 窯近くは50度以上。松尾さんは全身汗だくになりながら「長雨もいやだが、暑いのも勘弁だな」。傍らでは、冬に向け土鍋や土瓶が窯入れを待っている。

写真=万古焼の「蚊取り豚」の絵付けをする加藤貴代子さん(三重県菰野町の松尾製陶所)

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