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「いつ、どこに、どれだけの重油が流れつくのか、予想もつかない」。ボランティアも加わり重油の回収作業が本格化した11日、京都府の丹後半島周辺は、油の動きに振り回された。定置網に重油が急接近し、夕暮れの中をオイルフェンスを漁船に積み込んで沖合に急ぐ漁師たち、日本三景の天橋立を守るために宮津湾口をオイルフェンスで閉じる準備も進められた。漂い続ける茶色い油塊を目前に住民のいらだちと緊張は高まるばかりだ。 「寒ブリ漁最盛期の定置網は大丈夫か」―。流出重油が迫る中で、丹後半島一帯の漁業関係者は11日も不安な一日を過ごした。風向きによって、気まぐれに動く油の塊。夜が明けると思わぬ海域で新たな重油の帯が発見されることもある。海の男たちは、この日も生活の場の防衛に懸命に奔走した。 丹後半島の東側の与謝郡伊根町では同日朝、漁帰りの船が同町本庄浜の鯛崎沖に迫る多数の油塊を見つけた。緑深い岬まであと20メートルしかない。重油接近に、町内5漁協は急きょ、午前11時、組合長会議を開き、連携強化をきめた。 午後からは各漁協が漁船を繰り出した。定置網周辺に迫る恐れのある油を回収する。定置網の手前で食い止めようと組合員たちの必死の作業が続く。寒風の中をひしゃくを使ってべっとりとした重油をくみ上げるが、用意したドラム缶が足りない。何度も漁港を往復した。 約1時間でドラム缶15本分に。鯛崎周辺は波が高く、漁船が近づけない。海岸への漂着も確認できないままだ。 伊根漁協では油の南下を警戒、伊根漁港の東2キロ沖合の3つの大型定置網をオイルフェンスで囲うことを決めた。港に次々と組合員がトラックで乗り付け、フェンスの到着を待ち受けた。 しかし、20メートルずつあるフェンスをつなぎ合わせる作業に時間を取られ、出港は午後4時半を回った。延長800メートルにも及んだフェンスが漁船に積み切れない。約200メートル分は海面を引きずったまま、夕やみに包まれた港を後にした。それでもフェンスは足りない。残るフェンスの到着は夜になるため、12日も朝から総出の作業が続く。 冬の丹後は天気が変わりやすい季節にある。「いくら風と潮を読んでも、油の行く先は分からん」。重油の影におびえながら、漁師たちの夜が、また暮れた。 |