Kyoto Shimbun 1997.2.14

重油回収に参加して "自立したボランティア"を


重油を回収するボランティア(網野町の琴引浜)

 日本海で沈没したロシアタンカー・ナホトカから流出した重油が漂着している海岸に、ボランティアが集まり、力になっている。しかし、たくさんの重油が回収される半面、車の送迎や炊き出しを要求するなど、かえって地元の負担になるケースもあるという。「自立したボランティア」を考えながら、鳴き砂で知られる京都府網野町の琴引浜に行った。(今口規子)

 地元に負担かけない

 網野町役場内に、民間の「丹後ボランティアネット」本部がある。その日の作業場所を決め、誘導や案内、宿泊のあっせんなどをしている。前日に本部へ電話で申し込んだ。

 JR京都駅を午前9時25分発の特急はしだては、正午前に網野駅に到着した。浜までが遠いため、この時間と京都発10時25分のタンゴエクスプローラーだけは、駅から浜へ送迎してくれる。浜では、京都市内などからの約50人がすでに作業中だった。

福知山市から来た男性。足用
カイロ、スキー服で防寒対策
をした。足元は砂が入らない
ようにガムテープ(琴引浜)
 まずボランティア保険の受け付けをし、カッパ、長靴、ゴム手袋、毛糸の帽子、マスク、目の保護の眼鏡をつけ、スコップを持ってスタート。町とネット共同の現地事務所には、底が粗い網になっているチリトリなどの道具があり、効率がよいと聞いて借りた。

 どこを掘っても重油

 一見きれいに見える砂浜だが、よく見ると砂にまみれた10センチから数ミリの黒い塊がある。それが重油。砂をスコップですくい、ふるう。砂の中に埋もれている重油の小さな粒が、次から次に出てくる。みな黙々と働く。すぐに手袋や靴底に重油がべったりついた。

 1時間ほどで、腰が痛くなってきた。重油のにおいも鼻につき頭痛もするので、ちょっと休憩。午後3時半、回収できたのは粒が小さいためか、ほんの5キロほど。どこを掘っても重油があり、きりがない気もする。これでは何度も来る必要がありそうだ。地元の人に「やってみたら、気が遠くなるような作業って分かるでしょう」と言われた。

 高齢化と過疎が進む土地では地元の人の疲労が大きく、ボランティアの力は本当に必要だ。だが、弁当を持たずに、汚れた服で地元の食堂に入ったり、送迎のない時間に迎えや平日の炊き出しを要求する―などの迷惑な例も聞いた。

 スキー服程度の装備で

 ネット代表の守山輪明さんは「健康管理も含め、自立したボランティアに来てほしい。スキー場で作業するくらいの服装が必要。重油は発がん性物質を含むことを理解して、素手で触らない、目や鼻、口を保護するなど気をつけて。特に子供や妊婦は別の支援を」と話していた。自分のペースで、無理をせず、真面目に。そしてできるだけ地元に負担をかけない。完全には無理でも、そんな心掛けででかけることが大切だと感じた。

 同ネットは土・日曜にボランティアバスを運行している。ボランティアの受け付けは、同本部 電話0772(72)1000のほか、久美浜町役場 電話0772(82)0232、丹後町商工観光課ボランティア係 電話0772(75)2509へ。

 ◆ボランティアの持ち物◆  活性炭入りのマスク、目の保護用ゴーグル、長靴、ゴム手袋(耐油性)、カッパ上下、帽子、タオル、ガムテープ、スコップ、チリトリ、ごみ袋、弁当、お茶、カイロ



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