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幻の「若冲の花」分析 京都・信行寺の天井画167面

信行寺の格天井を埋める若冲の「花卉図」(京都市左京区北門前町)
信行寺の格天井を埋める若冲の「花卉図」(京都市左京区北門前町)

 江戸時代の絵師伊藤若冲が晩年手がけた幻の天井画が、京都市左京区の信行寺にある。計168の格子面に1種類ずつ花が描かれ、「花卉(かき)図」と呼ばれるこの作品について、植物学者による品種の同定や、他の若冲作品との比較などを試みた書籍「若冲の『花』」がこのほど出版された。

 「花卉図」は若冲が83歳頃に描き上げたとされ、もとは晩年を過ごした石峰寺(伏見区)の観音堂の天井画だった。明治初期に古美術商の手に渡り、信行寺の檀家(だんか)が買い取って寄進したと伝わる。昨秋初めて、期間限定で一般公開されて注目を浴び、若冲生誕300年の今年も11月10日から13日まで一般公開される。

 「若冲の『花』」では、理学博士光田重幸さん(植物分類学)が、167面(一つは落款)の花すべての品種を検討し、一覧表にしている。描かれた花々について「江戸中期の栽培植物のタイムカプセル」と評し、「渡来して間もない珍奇な植物や、食用だった野菜・園菜類まで取り上げられている」と記す。

 分析の結果、特定しきれない作品は残るものの、これまでの解釈に約20カ所の変更を加えた。さらに、「トリカブト」と判明していた絵を「ハナトリカブト」とするなど、約50種について品種名まで絞り込んだ。

 また牡丹(ぼたん)、菊、梅など複数枚に描かれた花を中心に拡大写真を掲載、動植綵絵(さいえ)などの花と比較して、若冲の観察眼の正確さを浮かび上がらせた。監修した美術史家の辻惟雄さんは、円形の画面に収まる花々について「奇抜なデザインによって動きを与えられ、まるで動物のように描かれた植物たち。それは面白さと同時に緊張感さえ醸しています」と表現している。

 「若冲の『花』」は朝日新聞出版刊、2160円。花卉図の特別公開は11月10日のみ講演とセットで事前申し込み制、市文化市民局TEL075(366)0033へ。11~13日は午前9時~午後4時。申し込み不要。問い合わせは信行寺TEL075(771)1769。いずれも有料。

【 2016年09月27日 19時37分 】

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