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コミュニティナース、自活手段確立が鍵 京都・綾部で発足へ

地域住民にリンパマッサージを指導する看護師(中央)+=綾部市睦寄町・あやべ山の家
地域住民にリンパマッサージを指導する看護師(中央)+=綾部市睦寄町・あやべ山の家

 地域で活動する看護師「コミュニティナース」が京都府綾部市に住んで高齢者の健康づくりなどに取り組むプロジェクトが4月から始まる。臨床以外の看護師の働き方を地域で探る試みだ。過疎地の活性化と未病対策に可能性を秘めているが、先進例が少なく、看護師の自活手段が確立されていないのが課題だ。市はプロジェクトを新たな若者定住策と位置付けており、事業モデルをどう作るか注目される。

 「耳たぶを指で回してみましょう」。1月31日、綾部市睦寄町のあやべ山の家。看護師が住民10人に語り掛けた。「何に効果があるの」という質問に「リンパの流れをよくします」と答える。笑いも誘いながら、リンパマッサージを指導した。

 プロジェクトの先行調査的な位置付けで、10都府県の看護師が2泊3日で市を訪れた。「むらの保健室」と銘打ち、血圧測定や健康相談を行って住民と交流した。

 コミュニティナースは健康相談や地域行事への参加を通じ、地域や家族の目の届きにくい独居高齢者らを見守る。異変があれば病院や行政などにつなぐ役割を担う。「住民の健康と生きがいを支える存在」と、企画したボノ株式会社(東京都)の横山貴敏社長は説明する。

 同社が育成に取り組む背景には独居高齢者の増加がある。医療費が膨らむ中、病院に勤務していない数十万人の潜在看護師を生かして未病対策をしようという狙いだ。「子育てのほか、職場環境や臨床の仕事が合わず辞めた看護師から『違う働き方があれば』という声は多い」と横山社長は話す。

 育成場所を探していた同社に市が応えた。人口減に悩む市は全国に先駆けてU・Iターン者の定住施策を進めたが、山崎善也市長は「近年は自治体間で移住者の取り合いになっている」と話す。コミュニティナースを呼び込むプロジェクトは「移住先進地として一歩先に進む」(山崎市長)施策として3年間で成果を出し、将来的には弁護士や薬剤師など有資格者の移住にもつなげたい考えだ。

 プロジェクトでは都市部から看護師3人が奥上林と西八田の両地区に入り、市や地域とともに事業モデルの構築を目指す。東京都内で病院勤務をしていた佐藤春華さん(24)は「綾部は外部の人に温かく接してくれる。地域でいつまでも元気で暮らすお手伝いができれば」と意欲的だ。奥上林自治会連合会副会長の西田昌一さん(75)も「農村の高齢者は多少の体調不良では中心市街地にある病院に行かない。専門家に健康上の助言をもらえれば安心感がある」と期待する。

■収益確保「地域性生かす」

 過疎高齢地域を支える看護師の自活手段を構築できるかがプロジェクトの成否を握る。

 先行地の島根県雲南市では矢田明子さん(36)が、看護師8人の所属する株式会社を設立。収益の柱を訪問看護に置き、地域活動と両立している。

 コミュニティナースとしての収入は健康相談の拠点などの運営費だ。「相談1回500円」などと地域に提示する。「住民の異変を見つけ、大ごとになるのを防ぐなど結果を残して理解を得てきた」と矢田さんは振り返る。

 綾部市では地域おこし協力隊制度を活用し、当面の生活費や住居を行政が支援して3年間でモデル確立を目指す。「市の関連施設で働きながら活動したり、高齢者と交流して得る情報を生かして事業所と連携することも考えられる。綾部の地域性を生かした手法を考えたい」と横山社長は話す。

【 2017年02月14日 17時00分 】

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