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森林保全と林業開発の両立が鍵 京都丹波高原国定公園2年目

南丹市役所美山支所前に設置された国定公園のモニュメント。美しい森の維持には、自然環境への理解の広がりと適切な利用が欠かせない(南丹市美山町島)
南丹市役所美山支所前に設置された国定公園のモニュメント。美しい森の維持には、自然環境への理解の広がりと適切な利用が欠かせない(南丹市美山町島)

 京都府の南丹、綾部、京都の3市と京丹波町にまたがる由良川・桂川源流域6万9千ヘクタールが昨年3月、京都丹波高原国定公園に指定された。一定の規制やルールが設けられ、森林保全意識の高まりにつながった半面、開発行為の規制による林業への影響が懸念されている。指定から1年以上が過ぎた現在の動きを追った。

 「森林に入るルールへの理解が広まっていると感じる」と好意的に受け止めるのは、美山町自然文化村河鹿荘で芦生の森ネーチャーガイドを務める帖地孝人さん(62)だ。

 開発行為が原則禁止される第一種特別区域の京都大芦生研究林は長年、過剰に人が立ち入る「オーバーユース」に悩まされてきた。研究より観光目的の一般入林者が多く、土を踏まれて植物の根が弱ってしまうほか、希少植物を持ち帰る人もいたという。帖地さんは木や花だけでなく、森林の役割や環境について質問を受ける機会が増えたといい、「森林の保全にいい影響を与える」と期待する。

 同研究林は、国定公園の指定で注目され、一般入林者が増えると予測。自然保護などを目的に昨年夏、入林規定を改定し、ガイドを伴わずに入れるエリアを大幅に縮小した。

 研究林のネーチャーガイドがいる芦生山の家(同市美山町)、美山町自然文化村河鹿荘(同)、針畑活性化組合(滋賀県高島市)は「芦生もりびと協会」の設立に動きだした。国定公園化を機に「環境への理解を広げるための連携を強化し、質の高いツアーの提供を目指す」と意欲を示す。

 一方、林業者の思いは複雑だ。これまで人工林を皆伐する際は市町への申請だけで済んだが、国定公園内の8割を占める第2、3種特別地域では景観への影響などを審査するため、新たに府への申請も必要になった。手続きの簡素化や窓口の一元化を求める声は多いが、府は「自然公園法に従った手続きを取る必要がある」として対応を見送った。

 同市美山町のある林業関係者は「指定はわれわれの仕事を制限するだけ」と言い切る。

 国定公園内には伐採適齢期を迎えたスギが多い。豊かな森は地球温暖化防止や、保水力で集中豪雨などによる土砂災害を防ぐ役割もあり、適切な管理が必要だ。美山町森林組合の小原昭雄事業第二課長は「手続きが複雑化すると、手入れや維持管理に対する山の所有者の関心が低くなり、将来的には山の放置につながり、森林が荒廃する恐れもある」と影響を懸念する。

 良質な木材が育つ森になってこそ美しい景観と機能が保たれ、国定公園としての価値が一層高まる。自然環境への理解の広がりと、森の適切な利用を両立し、環境を保全する知恵が求められている。

【 2017年07月09日 12時29分 】

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