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上田正昭氏死去 京都大名誉教授、日本古代史研究

上田正昭さん(2015年5月)
上田正昭さん(2015年5月)

 分野を超えたスケールの大きな視野で日本古代史の解明に取り組んだ京都大名誉教授で歴史学者の上田正昭(うえだ・まさあき)氏が13日午前7時54分、大動脈瘤(りゅう)破裂のため、京都府亀岡市曽我部町穴太宮垣内3の自宅で死去した。88歳。葬儀は近親者のみで行う予定。

 上田氏は兵庫県城崎町(現豊岡市)で生まれ、小学時代、京都西陣に転居。父母のゆかりで、跡継ぎのなかった南桑田郡曽我部村(現亀岡市)の小幡神社の社家を継いだ。神職の資格取得のため、国学院大に入学、折口信夫や金田一京助らの講義を受け、その後、京都大で史学科へ進み、西田直二郎らに学んだ。

 古代史研究では、壬申の乱を通して天皇制成立の過程とその実相を解き明かした。政治史、社会経済史の視点だけでなく、権力者の宗教的機能掌握に重きを置き、神話や祭祀、芸能史からのアプローチをたえず心がけた。

 さらに視野を広げて、日朝、日中関係史研究に取り組み、アジア交流史の中で日本の歴史を捉えた。仏教が中央のミヤコ(大和)から広まるのではなく、大陸から海を渡る際に、九州各地に先に伝わった可能性を示唆した。地域史の重要性を強調し、中央史観のゆがみを指摘した。

 「誠信の交わり」と呼ばれた江戸時代の友好使節、朝鮮通信使研究を通し、偏狭なナショナリズムを克服する思想として「民際」を提唱。国家を超えた民衆同士の交流の大切さを説いた。人権問題の分野でも、イデオロギーを超え、学際的に研究した。

 大阪女子大学長、アジア史学会会長、高麗美術館長、世界人権問題研究センター理事長などを歴任。南方熊楠賞、韓国・修交勲章崇礼章、京都府文化賞特別功労賞、京都市特別功労賞など。1988年から本紙「天眼」を執筆していた。

■国際的な歴史観

 哲学者梅原猛さんの話 京都大時代から、林屋辰三郎さんらを交えて親しく付き合ってきた。弱者の目線で歴史をみる一方、宗教にも常に深い関心を持っていた。国際的な視点で東アジアの歴史を捉えた日本史家は珍しい。お互いに歴史観や考え方で通じる部分があり、かつては認められていなかった藤原不比等が日本書紀の編さん者とする説も共有していた。昨年、一生をまとめるような本を相次いで書き、仕事のしすぎと心配していたが、最期の予感があったのかもしれない。年の近い友人をまた失い、ものすごくさびしい。

【 2016年03月13日 23時28分 】

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