出版案内
福祉事業団

若年性認知症、全国4万人 ADI国際会議、社会的支援の充実を

若年性認知症と診断された後の生活を笑顔で語る蘆田玲子さん(右)と夫+(4月29日、京都市左京区・国立京都国際会館)
若年性認知症と診断された後の生活を笑顔で語る蘆田玲子さん(右)と夫+(4月29日、京都市左京区・国立京都国際会館)

 65歳未満で発症する「若年性認知症」の人は全国で4万人近くいる。働き盛りの人も多く、仕事や生活への影響が深刻だが、社会や企業の理解は進んでおらず、政府は認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)で支援強化を柱に掲げる。京都市左京区の国立京都国際会館で4月27~29日にあった「国際アルツハイマー病協会(ADI、本部・英国)国際会議」(京都会議)でも主要テーマとなり、当事者が思いを語り、医師らが支援の重要性や研究成果を発表した。

 「カフェでママとしてお菓子を配っています。誕生日会もあって、楽しいですよ」。京都会議の全体会に登壇した蘆田玲子さん(68)は、認知症の人と家族の会富山県支部が設けるカフェへの参加を例に、5年前に発症してからも充実した日々を送っている様子を笑顔で語った。

 隣で見守る夫が「最近困ったことは」と尋ねると、「夫のことが時々分からなくなる」と打ち明けつつ、「心配事は、夫に病気があること。治るよう願っています」と気遣った。

 国の2009年推計で若年性認知症の人は全国で3万8千人(京都府約800人、滋賀県約400人)おり、平均発症年齢は51・3歳。職場で働き続けるには勤務形態の変更や配置転換などの配慮が必要だが、実情は厳しい。

 厚生労働省の調査で、就労経験がある約1400人のうち8割が、勤務先を自ら退職したり、解雇されたりしたと回答した。収入源を絶たれ、家族の生活にも影響が及ぶ。離職後も、地域社会での居場所に苦慮するケースが多い。

 一方、京都会議の分科会では、顧客の名前を忘れがちになった若年性認知症の人が、職場の理解を得て、営業職から事務職に移り働き続けている事例を紹介した。

 雇用・収入や居場所といった発症後の「環境」や、周囲の適切な支援に早い段階で結び付けるための「早期発見」が、若年性認知症の人を支える鍵とも言えそうだ。

 蘆田さんと共に発表した順天堂大の新井平伊教授は「本人や家族向け、環境の整備を含めた包括的な支援が重要だ」と指摘。特に家計収入への影響に伴う「精神的、経済的ストレス」にも対応が必要と指摘した。また、平日に休みにくい勤労者向けに、週末検査入院の取り組みも紹介した。

 京都会議閉会に際した主催団体の記者会見で、認知症の人と家族の会(本部・上京区)の高見国生代表理事は「当事者や家族への支えも整えてこそ、早期診断の効果が出る。制度的に、社会的支援が早期から受けられることが必要だ」と強調した。

【 2017年04月30日 22時53分 】

ニュース写真

  • 若年性認知症と診断された後の生活を笑顔で語る蘆田玲子さん(右)と夫+(4月29日、京都市左京区・国立京都国際会館)
京都新聞デジタル版のご案内

    地域の政治・社会ニュース

    全国の政治・社会ニュース

      スポーツ

      サッカー、武藤は後半に退く
      ドイツ1部リーグ

      20171217000005

       【シュツットガルト(ドイツ)共同】サッカーのドイツ1部リーグは16日、各地で行われ、武..... [ 記事へ ]

      経済

      葉っぱビジネスの経験伝授
      徳島「いろどり」、農業活性化へ

      20171216000092

       和食に添える葉や花などの「つまもの」を高齢者が商品化する「葉っぱビジネス」で知られる徳..... [ 記事へ ]

      観光・社寺

      地元作家の力作ずらり 「日展京都展」17日から開幕

      20171216000107

       京都美術界の冬の風物詩「改組新第4回日展京都展」(京都新聞など主催)が17日、京都市左..... [ 記事へ ]

      教育・大学

      3学科合同の音楽劇上演 同志社女子大で18、20日

      20171215000050

       同志社女子大学芸学部の学生40人が18、20の両日、京都府京田辺市興戸の京田辺キャンパ..... [ 記事へ ]

      環境・科学

      原子炉建屋想定し高専生技術競う
      福島で「廃炉創造ロボコン」

      20171216000129

       東京電力福島第1原発の原子炉建屋を想定した会場で、高専生が自作ロボットの操作技術を競う..... [ 記事へ ]

      国際

      中国、「一帯一路」推進呼び掛け
      閣僚級、日本側に

      20171216000112

       【北京共同】日中両国の政財界人や有識者が安全保障や外交を議論するシンポジウム「東京―北..... [ 記事へ ]