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無痛分娩、別の母子も脳障害 京都の産婦人科医院を提訴

硬膜外無痛分娩の仕組み
硬膜外無痛分娩の仕組み

 出産時の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩(ぶんべん)の施術ミスで、2012年11月に元大学准教授のロシア人女性(40)=京都市左京区=と長女(4)が意思疎通できない重度障害を負ったとして、夫(55)らが、京都府京田辺市の産婦人科医院「ふるき産婦人科」を相手取り、計約9億4千万円の損害賠償を求める訴訟を京都地裁に起こしていたことが、12日までに分かった。

 同医院をめぐっては、昨年5月に同様のミスが起き、母子が低酸素脳症による重度の障害を負ったとして、家族が計約3億3千万円の損害賠償を求めて同地裁に提訴している。

 訴状などによると、女性はインターネットで同医院を知り、局部麻酔を用いる無痛分娩での出産を決めた。陣痛開始後、脊髄を保護する硬膜の外側に細い管(カテーテル)を差し込んで、麻酔薬を注入する硬膜外麻酔を受けた。

 その後、女性の容体が急変。一時は心肺停止となり、宇治市内の総合病院に救急搬送された。搬送先で産まれた長女は低酸素脳症となり、女性は蘇生後脳症になった。2人は現在も寝たきりで、意思疎通ができない状態という。

 出産時の医療事故を補償する「産科医療補償制度」の原因分析委員会の報告書では、今回の事故を「カテーテル先端が硬膜を破って全脊椎麻酔になっていた可能性が高い」とし、「通常使用する量の2・5~4倍の麻酔薬を1回量として注入したことによる局所麻酔中毒」と結論付けている。

 夫側は、報告書などの指摘を踏まえ、医師に安全に麻酔を投与する義務違反があったと主張し、長女は自発呼吸がなく24時間自宅介護する費用や日本でロシア語を教える夢を絶たれた女性の慰謝料などを求めている。

 ふるき産婦人科は「取材には答えられない」と話した。

 ◼️無痛分娩

 日本産科麻酔学会によると、一般的な硬膜外鎮痛法では、硬膜外腔という背中の脊髄に近い場所に局所麻酔薬などを投与し、下半身の痛みだけをとる。心臓や肺が悪い妊婦などの負担を軽減するため用いる場合もある。2007年度に行われた医師による実態調査では、全国の硬膜外無痛分娩率は全分娩の2・6%だった。アメリカでは経腟分娩の約6割、フランスでは約8割が無痛分娩という。

【 2017年06月12日 23時30分 】

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