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姉川氾濫「早く元の生活に」 滋賀、発生から1週間

被害を受けた住民らの家財道具を回収する長浜市職員(同市大井町)
被害を受けた住民らの家財道具を回収する長浜市職員(同市大井町)

 滋賀県長浜市大井町の16世帯が浸水し、550人が避難を余儀なくされた台風5号豪雨に伴う姉川の氾濫から、15日で1週間になる。災害の爪痕が残る現地では住民らが今も復旧作業に追われている。

 同町では14日、住民らが家屋や道路、水路にたまった土砂の除去や、水浸しになった家財道具の処分を続けた。

 姉川の堤防南側にある集会所付近では、住民が廃棄した家財道具が積み上げられ、市職員が回収にあたった。自宅が床上浸水した饗場隆元さん(73)方は寝室の畳や布団を新調した後も、廊下や縁の下に土砂が残る。「片付けに体力を使い果たした。早く元の生活に戻りたい」と話した。

 氾濫原因になった「切り通し」がある道路は車や自転車が行き交う光景が戻った。ほぼ毎日利用するという米田友江さん(79)は「切り通しは便利だが、これを機会にふさいでほしい」と話した。

 県と市、大井町自治会は16日から、切り通し廃止に向けて協議を始める。「行政が自治会と綿密に連絡を取る仕組みになっていなかった」(藤井勇治市長)との教訓から、市は廃止まで姉川の水位を大井町自治会と共有し、「堰板の設置を地元や県と一緒に判断したい」とする。

■連携不足、被害拡大招く

 氾濫は、地元が存続を願った堤防の切り落とし部分「切り通し」(幅約6メートル、深さ約3・5メートル)から濁流があふれ出て起きた。市と地元との連携不足が被害拡大を招いた。

 7日午後11時40分、旧大井橋の氾濫現場の上流約1・8キロの国友橋で水位が2・24メートルに達し、氾濫危険水位(2・10メートル)を超えた。市防災危機管理局の担当者は、県と各市町村を結ぶ土木防災情報システムを通し、ほぼ同時刻に把握。1時間で88センチも急上昇していたが、藤井勇治市長をトップとする「警戒2号体制」(196人)での共有にとどめ、地元の大井町自治会に連絡しなかった。

 市は当時、市内7河川の計15カ所の水位と雲の動きを注視。このうち高時川氾濫を警戒し、同市木之本町川合で避難所開設準備に追われていた。横尾仁副局長は「対応が一極に集中してしまった。旧大井橋の切り通しは経験則から高さ1・1メートルの堰板で防げると考えたし、堰板は地元自治会が当然張っていると思った」と振り返る。

 1993年の新大井橋完成以降、県長浜土木事務所と地元の大井町自治会は旧大井橋撤去と切り通し廃止の議論を重ねた。農作業や通学に便利として存続を願う声が右岸側で強く、新大井橋に迂回路をつなぐための県の用地買収も難航。増水時は自治会の判断で堰板を張ることになっていた。

 だが、上流から大量の水が押し寄せた8日午前0時すぎ、旧大井橋の切り通しに堰板はなかった。饗場富蔵自治会長(59)は「1時間前に現場を見て、水位が低く不要と判断した。自分は気象のプロでなく予測に限界があった」と嘆く。

 市は住民への避難の呼び掛けでも後手に回った。8日午前0時10分に長浜署から氾濫の一報を受けながら、避難指示を出したのは1時間50分後。横尾副局長は「避難所開設や受け入れ体制が整わない限り、避難指示できないと考えた。もっと早く避難指示すべきだった」と反省する。

【 2017年08月15日 10時32分 】

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