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社説:東京五輪対策  「開催後」の議論不可欠

 衆院選で表だった論戦にはなっていないが、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催は多くの問題を抱えている。

 巨額の開催費用は、次世代への負担になることが懸念される。

 「五輪景気」を見据えた不動産投資や建設事業などで多くの金・人・モノが東京に集まり、一極集中にいっそう拍車をかけている。

 国民の多くが期待を寄せる五輪だが、負の部分についての議論も必要だ。政治の責任である。

 五輪の費用は現段階で予備費を除き総額1兆3850億円。招致時の7340億円からほぼ倍増した。東京都と大会組織委員会が6000億円ずつ、国が1500億円を負担し、残る350億円は宝くじの発行収益でまかなう。

 コンパクトな会場配置を目指していたが、結果的に開催地は7都道県にまたがった。選手や観客の輸送、期間中に営業できなくなる事業者への補償、暑さ対策などさらにコストがかさむ要素もある。経費の圧縮は喫緊の課題だ。

 五輪をあてこんだ東京への集中も、日本経済や国民生活に大きなゆがみを生じさせかねない。

 東京の不動産価格は上昇を続けており、「ミニバブル」との指摘もある。地方との差も拡大している。共同通信社が7月にまとめた各都道府県にある地域シンクタンクなどへの調査では、東京と地方の景気格差が今後、一段と拡大するとの見方が半数を占めた。

 都の試算では、招致が決定した13年9月から五輪10年後の30年9月までの経済効果は全国で32兆円程度になるというが、恩恵はどこまで及ぶのか。東京の「独り勝ち」を見る地方の目は冷ややかだ。

 五輪開催後の経済の見通しも厳しく考えるべきだ。中国では08年の北京五輪の期間中に株価や不動産価格が下落した。昨年リオデジャネイロ五輪があったブラジルでは雇用した3万人が失業し、競技施設などを多数抱え込んでいる。

 夢の五輪に負のレガシー(遺産)が残るようでは本末転倒だ。

 「震災復興五輪」の意味が薄れているのも気になる。野球やサッカーなどの一部試合が福島、宮城両県であるが、全体として被災地への目配りが欠けていないか。

 いまなお8万4千人が避難生活を送っている。安倍晋三首相が招致時に「コントロールされている」と力説した福島第1原発の汚染水問題も解決のめどが立たない。

 五輪のマイナス面をどう克服するか、あらためて問い直す時だ。

[京都新聞 2017年10月20日掲載]

【 2017年10月20日 11時00分 】

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