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母から叱責や体罰、今も脳裏に 滋賀の女子大生が手記

幼いころに受けた体罰と今も続く苦しみをつづった文章が掲載された本に、両手を添える野上さん
幼いころに受けた体罰と今も続く苦しみをつづった文章が掲載された本に、両手を添える野上さん

 子どもの視点で親からの虐待体験をつづった本「日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?」(dZERO刊)に、滋賀県在住の女子大学生(19)が掲載されている。母親の厳しい叱責(しっせき)と体罰を受け、それらの記憶に今も苦しむ。手記に「あなたを包丁で殺すことを何度も妄想した」などと母親のことを書き、「子どもも親を嫌いになってもいい」と、つぶやく。11月は「児童虐待防止推進月間」。

 野上雫さん(仮名)は、今年5月ごろ、虐待体験者の手記が公募されているのをツイッターで知り、一気に書き上げた。「家にいればストレスがたまり、体調不良が続きました」「死んだほうがいいクズ」など思いつく限りの言葉を連ねて母親を激しく非難している。

 「母は自己中心的で学歴志向が強い」。野上さんは2歳から習い事を始め、英才教育をうたう塾では古文や漢文を暗唱させられた。塾の前々日と前日は暗唱できるまで就寝できず、ミスをすると母に頭を殴られ、時に腹部も蹴られた。塾の教室で他の子の親も並ぶ中、発表を間違えると猛烈に怒られ「怖くて泣くしかなかった」と振り返る。

 中学受験で通った進学校になじめずに孤立すると「学校に行かないなんて犯罪だ」と叱られた。うつ病を発症し、手首を何度も机に打ち付け、痛みで気持ちを紛らわせた。「死にたいけれど死ねない。現実を忘れるには、これしかなかった」

 高校で部活動に打ち込み、過去を話せる友人を得て、徐々に自分を客観視できるようになった。しかし、今でも女性のヒステリックな声を聞くと、悲しくないのに涙が止まらず体が震える。そんな時はトイレに駆け込み、パニック症状が収まるまで待つという。

 野上さんは「母の謝罪を望んでいるわけではない」と語る。本を見せることもないという。ただ、掲載されることで「(虐待だったという)証明書がほしかったのかな。同じつらい思いをしている人に伝われば」と話した。

■日本一醜い親への手紙

 親から虐待された当事者100人の公募手記集。1997年発表の第1弾は、児童虐待の本では異例の約10万部を売り上げ、10月に第2弾が発刊。「子どもを愛せない親からの手紙」などとの3部作は累計30万部のベストセラーとなり、子どもに悪影響を及ぼす親を指す「毒親」などの本を生む土壌をつくったとされる。

【 2017年11月29日 11時30分 】

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