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社説:神戸製鋼の不正 悪習を断ち切れるのか

 顧客と事前に決めた仕様を満たしていないのにデータを勝手に書き換えて製品を出荷していた神戸製鋼所が、外部調査委員会の調査に基づく最終報告書を公表した。一連の問題の責任を取り、川崎博也会長兼社長を含む幹部6人が近く辞任する。

 元検事らの調査でまとめられた報告書を見て驚くのは、長年にわたる品質の軽視、不正を容認する組織風土だ。

 不正は計23拠点で行われ、遅くとも1970年代には問題が存在した。直接関わったり黙認したりしていたのは元副社長や現職の執行役員を含め40人以上。製品の納入先は600社に上る。

 一般に製造業では、顧客仕様を満たさなくても品質に問題がなければ顧客の了承を得て納入する慣行があり、「特別採用(トクサイ)」と呼ばれる。しかし神鋼の一部工場ではデータの改ざんもトクサイと呼び、その手引書まで作成していた。

 こうした根深い不正体質を刷新し、トップから末端まで意識改革ができるのか。現時点では懐疑的にならざるを得ない。

 神鋼グループでは2006年に工場のばい煙排出量を、16年に鋼線の試験値を改ざんするなど、たびたび不祥事がありながら不十分な対症療法に終わっている。

 報告書は、今回の不正の原因について「生産至上主義」を指摘する。売り上げを伸ばすために実力以上に受注することが常態化していた。人事異動の少ない閉鎖的な組織で、顧客仕様を外れていても一定範囲内なら出荷して構わないとの意識が引き継がれ、チェックの仕組みも弱かった。

 再発防止策として神鋼は、独立した社外取締役の割合を増やすほか、会長職を廃止して取締役会の議長を外部から招くなど公正・透明性を高めるという。併せて、品質保証の専門人材を育成し、データの自動管理化を進める。

 今度こそ悪習を断ち切れるか、4月発足の新経営陣の本気度が問われる。現場の声をよく把握し、品質管理に必要な設備投資や人員の手当てを惜しまないでもらいたい。

 神鋼のアルミ、銅製品は自動車や航空機などに使われており、乗る人の安全に関わる。

 素材メーカーでは三菱マテリアルや東レ、宇部興産などでも品質不正が相次ぎ、日本のものづくりへの信頼が揺らいでいる。最近は海外の訴訟で巨額の罰金を課されるリスクも取り沙汰される。産業界全体が他山の石として自己点検してほしい。

[京都新聞 2018年03月10日掲載]

【 2018年03月10日 12時24分 】

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