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社説:外国人就労資格 実習制度見直しが必要

 政府が日本で働く外国人の新たな在留資格制度を検討している。

 最長5年間の技能実習制度の修了者で一定の条件をクリアした人に、さらに最長5年間、就労を認める方向だ。合わせて10年間働けることになる。

 安倍晋三首相が経済財政諮問会議で検討を指示し、内閣官房の検討部会で議論が進められている。

 人手不足が深刻化していることが背景にある。

 だが、技能実習制度は低賃金や劣悪な労働環境などの問題を度々引き起こしている。この制度を前提にしていいのだろうか。

 実習制度の検証や抜本的見直しが必要ではないか。

 日本で働く外国人労働者は昨年10月時点で、過去最高の128万人に上る。このうち約26万人が技能実習生だ。

 技能実習制度は、技術や知識の習得を通じた国際貢献が本来の目的で、実習後は帰国することが前提になっている。

 実際に、工業や食品加工などの分野で技術を取得して、自国で活躍している人も少なくない。

 しかし、地方の農業や紡績などの産業分野では、実習生が安価な労働力となっている実態もある。雇用者側からは、実習生が継続して就労できるようにとの要望が上がっている。

 こうした中で長時間労働や労災隠し、パスポートの取り上げといった違法な処遇が問題になってきた。

 昨年11月には、制度の不正運用に監視を強める適正化法が施行された。受け入れ事業所などには実習計画の作成などを義務づけ、人権侵害には罰則も設けた。

 一方で、実習の期間を3年から5年に延長し、対象職種を拡大して介護職などを追加した。

 この上、新たな制度を追加するなら、適正化法施行後の実態調査や検証を、まず行う必要がある。

 日本は単純労働を目的とした外国人の受け入れを公式には認めていない。安倍首相も「移民政策をとる考えはない」と明言している。

 建前と実態があまりにもかけ離れていることに問題の原因がある。海外の人権監視団体からも厳しい視線が注がれている。

 技能実習制度と同様、新しい制度でも家族の入国は認めない方針だ。「働きたいなら、家族とさらに5年離れて」。そんな制度に問題はないだろうか。

 多くの外国人が働くことを前提とした社会システムの整備を急がねばならない。

[京都新聞 2018年04月25日掲載]

【 2018年04月25日 11時20分 】

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