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知事公約実現、透明性の高さが鉄則 嘉田由紀子前知事に聞く

自宅で琵琶湖を背に話す嘉田由紀子氏(5月、大津市)
自宅で琵琶湖を背に話す嘉田由紀子氏(5月、大津市)

 平成へ至る歴代の滋賀県知事3人に、それぞれが考える知事の役割や資質について聞いた。

 2006年滋賀県知事選では財政再建、少子高齢化、琵琶湖の環境保全の三つの政策を「もったいない」という「暮らし言葉」で訴えた。その方向性ははっきりとマニフェスト(公約)で示し、県民と約束した。

 私は政策が評価され知事に選ばれた。それを実現するのが一番大きな仕事だった。2期8年、約束実現のために奔走してきた。

 その際に大事にしたのが県政の透明性を高めることだ。隠さない、だまさない、うそをつかない。そして諦めない。四つの「ない」を口酸っぱく言ってきた。

 新幹線新駅とダムの建設中止は前例がなかった。放射性物質の拡散予測も全国で初めて実施した。一般的に行政職員は前例のないことはやりたがらない。できない理由ばかりを並べる。やるか、やらないかが重要だと訴えた。

 行政の一番の問題は縦割りの仕組み。生活者目線に立って、縦割りに横串を刺すよう徹底してきた。当時の県職員は知事の方針実現に力を注いでくれた。

 流域治水推進条例はその典型だ。川の中で水をあふれさせないのが河川行政だが、守りきれなければあふれる。その時に人家が床上浸水しないよう土地利用を規制する。さらに命を守るため建物のかさ上げも義務化した。河川行政、都市計画行政、住宅行政の縦割りに横串を差した政策だ。

 マザーズジョブステーションも横串政策だ。子育て中の女性が就職相談を受ける時に保育サービスを利用でき、ハローワークの就職情報も得られる。

 家庭には財務省もあれば厚生労働省、農林水産省もある。生活者は全省庁相乗りだ。縦割りの各部局に横串を刺せるのは、知事だからできることだ。

 政治は政策を実現するための手段だ。学者が琵琶湖を良くしようと、本を何十冊書いてもダム一つ止まらなかった。自分がやるしかないと思った。知事の権力は大きい。昨日まで動いていた公共事業でも政策が支持されれば止められる。権力の使い方を間違ってはいけない。知事も職員も全体の奉仕者だ。安倍政権のような権力の私物化は絶対に避けなければいけない。

 最大の県政課題は少子高齢化への対応だ。人口構造の変化を踏まえた政策をどう進めるか。長寿社会に合わせた在宅看取(みと)りや農業、スポーツ、社会参加などの在り方が問われている。

 子どもや若者にとって最善の政治は何か。今まで政治は遠いと思っていた人たちが関心を持つような政策論争に期待したい。

 ■かだ・ゆきこ 1950年埼玉県本庄市生まれ。京都大、米ウィスコンシン大両大学院修了。1981年に滋賀県庁に入り琵琶湖研究所研究員、琵琶湖博物館総括学芸員などを務めた。2000年に京都精華大教授に就任した後、06年から2期8年間、滋賀県知事を務めた。退任後はびわこ成蹊スポーツ大学長を務め、17年衆院選に滋賀1区から無所属で立候補し、落選した。68歳。

=3回続きの3回目。

【 2018年06月03日 17時00分 】

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