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街の本屋、直仕入れで復権を 京都・恵文社元店長が独立

恵文社一乗寺店を辞め、独立した堀部篤史さん(京都市左京区)
恵文社一乗寺店を辞め、独立した堀部篤史さん(京都市左京区)

 独自の本の品ぞろえで知られる書店「恵文社一乗寺店」(京都市左京区)の店長を13年間務めた堀部篤史さん(38)が独立し、一人で市内に新刊書店を開く。出版不況で街の本屋さんが次々と消える中、「本の流通の仕組みに風穴を開けて新たな書店の経営モデルをつくりたい」と話す。

 恵文社一乗寺店は文庫を出版社別ではなく作家ごとに配置したり、50音順にこだわらず作風が近い作家をまとめて置いたりし、思わぬ本との出合いで読書の世界を広げてきた。芥川賞作家の綿矢りささんや又吉直樹さんがお気に入りの場所に挙げ、2008年には英ガーディアン紙が世界の書店10店の一つに選び、外国人も多く訪れている。

 堀部さんは、この個性的な店づくりをけん引してきた。しかし、本が売れず、地方の小さな書店が相次いで閉店していく一方で、広大な店舗面積を誇るメガストアが積極出店している流れに違和感を覚えた。「新たに個人の書店が生まれないのは本の流通に構造的な問題があるから。だからこそ自分で新たなルールを提案したいと思った」と独立の理由を語る。

 堀部さんによると、小さな書店は本の流通を取り仕切る大手取次店との契約が難しく、話題の新刊を仕入れにくい。売り上げの配分も書店は2割ほどと少ないため、本だけでは経営が成り立ちにくいという。

 新たな店ではできる限り取次店を通さず、出版社からじかに本を仕入れることで双方の利幅を増やす。すでに筑摩書房や河出書房新社、晶文社などの協力を得た。店舗は河原町丸太町近くの上京区俵屋町の住居を兼ねた一軒家。店は1階の20坪ほどで、ほぼ1人で営むことで人件費を抑える。

 店の名前は「誠光社」にした。大正から昭和初期にかけて近くにあった書店「西川誠光堂」にちなんだ。検閲が厳しさを増す戦時下で岩波本の提供を続けたという伝説の店。堀部さんは「西川誠光堂の存在が界わいに変化をもたらしたように、良い意味で街を変えていく店にしたい」と話す。11月末に開店予定。すでにインターネット販売を始めている。

【 2015年11月15日 19時51分 】

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