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沖野修也、JOJO広重、岡村詩野らが語る「音楽と京都」

左から沖野修也さん、JOJO広重さん、岡村詩野さん、増淵敏之さん
左から沖野修也さん、JOJO広重さん、岡村詩野さん、増淵敏之さん

 「ザ・フォーク・クルセダーズ」や「ザ・タイガース」、そして近年の「くるり」といった豊かな音楽文化が京都でなぜ生まれるのか。ポピュラー音楽と京都という都市の関係について考えるシンポジウムがこのほど、京都精華大(京都市左京区)であった。演奏家、音楽評論家、都市研究者の4人が語り、この街の個性が浮き上がった。

■沖野修也さん「京都の町は世界基準」

 宇治市出身で兄弟DJユニット「Kyoto Jazz Massive」の沖野修也さん。ユニット名に京都を掲げたのは、ひょんなことがきっかけだった。

 1990年、ジャズ系DJで世界的な影響力を持つ英国人のジャイルス・ピーターソンさんが来日した際、サインをもらった。ピーターソンさんはそこに今のユニット名を書き込んだ。沖野さんが意味を問うと「だって君たちは京都でジャズを盛り上げようとしてるんだろ」と話した。

 massive(マッシブ)には集団という意味とともに、一斉に攻撃を仕掛けるという意味もあるという。その言葉を気に入った沖野さんは、その場でユニット名として使う許可を得た。翌年、東京に移り住んだ。関西のDJの存在を発信するため、東京にクラブを開店したが、関西からの同業ライバルへの風当たりは強く、当初は苦戦を強いられたという。

 そこに京都ブームの波が到来した。JR東海のキャンペーン「そうだ 京都、行こう。」や雑誌の特集などによってデザイン、アート系の人々の京都への関心も高まり、ユニットへの注目度が上がっていった。

 「あの時、ピーターソンにサインしてもらって本当にラッキーだった」と沖野さんは振り返る。「外国人にとって京都は以前から魅力的な都市。和の象徴である京都の街とジャズの組み合わせのギャップが世界では新鮮に受け止められた」

 沖野さんは、上海やシンガポールといったアジアの都市が経済発展を背景に輝きを増す中で、東京の魅力は相対的に低下しているとみる。4年前に京都に戻ってきた。「京都ブランドの力は増している。世界基準のこの街で、東京とは違う文化を発信していきたい」と述べた。

■JOJO広重さん「原点は70~80年代の京都音楽史」

 ノイズバンド「非常階段」のメンバーで、レーベル「アルケミーレコード」を主宰する京都市出身のJOJO広重さんは、過激な音楽表現で知られる。1970~80年代の京都音楽史を物語る貴重な当時のライブチラシを紹介しながら、自らの原点を振り返った。

 同志社中に通っていたころ、ロックバンド「頭脳警察」の演奏を聴いた。フリージャズのような形にとらわれない音楽に関心を持つようになったという。

 しかし、前衛音楽はラジオでかからない。レコードを買うお金もない。ジャズ喫茶やロック喫茶では敬遠されがちなフリージャズや現代音楽を聴ける数少ない場所に通った。その一つが百万遍にあった「彷徨(ほうこう)館」(左京区)。貴重なレコードやライブを聴いた。大切に保管している当時のチラシをスライドに映し、「頻繁に通ったが78年に閉鎖してしまった」と語った。

 京都大の西部講堂(同)でロックバンド「村八分」やギター奏者のデレク・ベイリーを見て衝撃を受け、同志社大近辺にあった中古レコード店や喫茶店で多様な音楽に触れた。「もっと過激なものを」と大学時代に「非常階段」を結成した。やがて東京に移り、関西のバンドを発信していく。

 「今後はアバンギャルドな音楽とアイドルを組み合わせて海外に売り出していきたい」

■岡村詩野さん「学生の交流が多様な音楽を生む」

 京都で育ち、東京で音楽評論を長年続けてきた岡村詩野さんは2年前、拠点を京都に移した。「(音楽的環境が)東京より京都の方が面白いという判断だった」と明かした。

 2000年代以降、京都の音楽の起爆剤になった音楽イベントとして毎秋の「ボロフェスタ」を挙げた。今年も10月にKBSホール(上京区)であり、梅小路公園(下京区)で07年から野外フェス「京都音楽博覧会」を開く「くるり」が出演し、話題を呼んだ。

 「メジャー、インディーズのほか、アイドルも出演する。この催しの企画運営を全て現役の大学生がボランティアで行っているところに大きな意味がある」と話す。

 こうした音楽イベントが支持を集める下地として、カンパ制の自主運営で続く京大西部講堂があるという。また、京都のライブハウスの多くは東京とは違って出演者にチケット販売のノルマを課さないといい、「街全体による手作りの音楽環境がある」。中古レコード店も街中に集中し、増加傾向にある。「コンパクトな街で、たくさんの学生たちが交流を重ね、多様な音楽を生み出す循環が、ここ10年、15年ぐらいで出来上がってきた」と語った。

■増淵法政大教授「京都は学生街」

 「路地裏が文化を生む!」などの著書がある法政大の増淵敏之教授(観光地理学)は、レコード会社やローカルFM局に在籍した経験を持つ。中島みゆきや安全地帯が活動した札幌と長渕剛らを輩出した福岡の音楽環境を分析した上で、京都が新しい才能を生み出す理由として学生の街という側面を挙げた。

 「東京は最近、学生街が失われ、街で学生の姿を見ることがなくなった」と話し、東京では学生文化が薄れつつあることも指摘した。

【 2015年12月13日 17時00分 】

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