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漫画誌「ガロ」の時代 創刊者没後20年

「ガロ」に関わった作家の漫画の原画や雑誌が並べられた展示(京都市下京区・メリーゴーランド京都)
「ガロ」に関わった作家の漫画の原画や雑誌が並べられた展示(京都市下京区・メリーゴーランド京都)

 白土三平や水木しげる、つげ義春の活躍の舞台となった月刊漫画誌「ガロ」を創刊した長井勝一さんが亡くなって今年で20年になる。これにあわせ、ガロを振り返るトークイベントが、長井さんの菩提(ぼだい)寺である京都市下京区の徳正寺であった。昨年11月に亡くなった水木さんの意外な素顔も語られた。

 評論家で京都精華大マンガ学部客員教授の呉智英さん(69)とガロ編集長も務めた南伸坊さん(68)、ガロに作品を発表したイラストレーターの林静一さん(70)が語り合った。

 学生時代、水木さんに漫画のネタを提供するアルバイトをしていた呉さんは「水木さんが亡くなってテレビや新聞からコメントを求められたが、彼らは、水木さんを妖怪好きの愉快なおじさんで、戦争に行って苦労した人というふうにまとめたがる。間違いではないが、水木さんは妖怪を全く信じていないし、作品にも違う側面がある」と強調した。

 例えば水木さんの代表作「ゲゲゲの鬼太郎」。呉さんはガロの1966年3月号に掲載された「鬼太郎の誕生」を説明した。鬼太郎は幽霊族の生き残りで、妊娠したまま死んだ母親から墓場で生まれ、我が子の身を案じて父親である目玉おやじは腐敗した体から抜け出たという筋を紹介し、「水木さんは単なる妖怪話ではなく歴史の重層性を描いている。今あるこの世界は、人間が知らない世界の延長線上にあると伝えたい」と指摘した。

 もともと東映動画でアニメの作画をしていた林さんは「漫画は子どものものとばかにしていたが、ガロで水木作品などを読み、大人しか分からない表現の深みがあった。人生のほろ苦さが描かれていて驚いた」と語った。仕事の合間に漫画を書き、21歳で初めてガロに投稿したという。

 南さんは編集部在籍時に聞いた水木さんと長井さんの会話を明かした。一緒に返本整理の作業をしていた部屋で水木さんが長井さんにモテる理由を聞き、長井さんが具体的な飲食店を挙げて、そこで出会いを待つと説明すると、水木さんが「出会いがなかったらどうするんだ」と質問攻めに。水木さんがあまりにしつこいので長井さんが最後に怒り出したと振り返り、会場の笑いを誘った。

■徳正寺で20周忌勤行

 没後20年を記念したトークでは、徳正寺の僧侶である扉野良人さんが冒頭に長井さんの20周忌勤行を行った。

 長井さんと徳正寺は、扉野さんの母が京都書院のギャラリーに勤務していた際にガロの展示をした縁で親交があったという。

 ガロは2002年から事実上の休刊となり、今は漫画雑誌「アックス」(青林工藝舎)に引き継がれた形になっている。トークは、アックスにゆかりの漫画家である島田虎之介さんと古泉智浩さんの対談もあった。最後に、京都精華大の教授で漫画家のひさうちみちおさんが加わり、全員で長井さんのことを語り合った。

【 2016年01月22日 19時05分 】

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