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名物おかみの居酒屋閉店へ 京都・東山 半世紀「出会い感謝」

なじみの客と談笑する「お食事処 伏見」のおかみ川原多津子さん(右)=京都市東山区
なじみの客と談笑する「お食事処 伏見」のおかみ川原多津子さん(右)=京都市東山区

 京都市東山区で60年、営業を続けてきた居酒屋「お食事処 伏見」が5月末で閉店する。新鮮な海産物とおかみ川原多津子さん(67)のざっくばらんな人柄が人気で、俳優の故大滝秀治さんも通った名物店。道路や公営住宅を整備する市の住宅地区改良事業に伴い店の土地売却を求められ、決断した。川原さんは「人との出会いの大切さを学べた」と感謝を胸に、残り少ない営業に精を出している。

■故大滝秀治さんら著名人常連

 川原さんの父・故西澤繁三朗さんが1955年ごろ開店した。川原さんは18歳から手伝い、父が体調を崩した75年ごろに継いだ。店内はコの字型のカウンター席で二十数人も座れば満員。父の代から付き合いがある問屋で仕入れる伊勢エビやアワビ、タイなど天然の海産物を生かした料理を売りにしてきた。

 近くの京都大や同志社大、立命館大の学生や教員らが主な客で、酒を片手に良く議論を交わしていた。川原さんも大学紛争のころ、客に誘われ火炎瓶が飛び交う現場を訪ねたことも。バブル景気の頃はサラリーマンが多く「接待で伊勢エビがたくさん売れました」と笑う。

 故夏目雅子さんや京唄子さんら著名人も多く訪れた。故大滝秀治さんも常連の1人。「1人で静かに食べたり飲んだりしながらお客さんの振る舞いを観察していた。俳優のかがみだと思いました」

 「自分の都合で店を閉じるのではない」と悔しい思いもあるが、閉店を知ったなじみ客が多く詰めかける中、変わらぬ明るさで店に立つ。30年通う上京区の公務員男性(50)は「誰にでも平等に接するおかみさんの人柄が好きだった」。多津子さんは「たくさん一期一会を経験し、私自身成長させてもらった」と振り返る。

 31日に閉店。営業時間は午後5時から午後10時半(入店は10時まで)。日曜休み。TEL075(751)7458。

【 2016年05月18日 10時20分 】

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