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先の戦って「応仁の乱」? 京都人100人に聞く

先の戦といえば、応仁の乱?( アンケートは、京都市内で生まれ育った人、または嫁いできておおむね30年以上暮らす人を対象に実施した)
先の戦といえば、応仁の乱?( アンケートは、京都市内で生まれ育った人、または嫁いできておおむね30年以上暮らす人を対象に実施した)

 終戦直後。ある書物を探している人が、京都ゆかりの元首相近衛文麿を訪ね、陽明文庫(京都市右京区)に保管されていないか尋ねた。「戦争で焼けた」と言う近衛に、「疎開しなかったんですか」と聞くと、こう返ってきた。「焼けたのは、応仁の乱の時ですよ」

 このエピソードは、演劇評論家の故戸板康二さんが知人らから聞いた話をまとめた著作に出てくる。話の真偽は不明だが、京都人にとって先の戦は「応仁の乱」といううわさは全国で語られている。

 古都・京都へのあこがれと、裏返しのやっかみが入り交じって広まったのだろう。ウソに決まっていると疑いつつ、100人の京都人に「先の戦といえば」と聞いてみた。

 約7割は第2次世界大戦(太平洋戦争)と答えた。当然だろう。他都市ほどの被害はなかったとはいえ、市街地は空襲を受け、疎開で住み慣れた家を壊された市民も多い。

 「市外の人がおもしろがって言っているだけ」と一笑に付す人も多かった。ところが、応仁の乱と答えた人が3人いた。愛知県出身で滋賀県育ちの記者にとっては想定外だ。先の戦に「桶狭間の戦い」や「姉川の戦い」を挙げる知人は、誰一人いない。なぜなのか。

 「私たちにとっては特別な戦です」。祇園祭の山鉾(やまぼこ)町の一つ、太子山保存会理事長の川口良正さん(67)は、応仁の乱と答えた。

 平安時代に起源を持つ祇園祭は、応仁の乱が起きた1467年から33年間も途絶えた。一方、第2次大戦による山鉾巡行の中断は4年間だけだ。

 「戦乱で町衆の結束力が強まり、祇園祭再興の原動力になった」。荒廃した京都は乱後、急速に復興し、現在の「上京」「下京」の原形ができる。祇園祭は復興の象徴だった。「戦後という言葉には、戦争被害、その後の復興という二つの意味が含まれていると思う。それは応仁の乱にも当てはまる」と、川口さんは力説する。

 回答者の1人、左京区の中村文さん(72)宅には、先祖の戒名と亡くなった年月日を記した古い台帳が残る。「乱後の台帳はあるが、それ以前のものは焼けたのか、無い。そういう意味で、先の戦といえば応仁の乱をイメージします」と話す。

 アンケートでは「蛤御門(はまぐりごもん)の変」(1864年)と答えた人も2人いた。市考古資料館の山本雅和副館長(53)は「蛤御門の変の方が、京都の街は焼けた。『どんどん焼け』とも言われ、大火の印象が強いからですかね」。

 今年は応仁の乱からちょうど550年。「先の戦」の記憶は京都の街にとってそこから始まり、歴史の変遷とともに、新たな記憶が刻み込まれている。

        

◆ぶぶ漬け、着倒れ、応仁の乱…。「京都といえば」と府外市外の人に問えば、お決まりのように返ってくる答えがある。でも、「それってホンマ?」。真相に迫るべく、京都市民100人に聞いてみた。(連載「おもしろ わがまち 京の探検隊」より)

【 2017年04月14日 17時10分 】

ニュース写真

  • 先の戦といえば、応仁の乱?( アンケートは、京都市内で生まれ育った人、または嫁いできておおむね30年以上暮らす人を対象に実施した)
  • 京都市内にある応仁の乱勃発地の石碑。「先の戦」の記憶は京都の街ではこの乱から始まり、今日まで刻み込まれている(京都市上京区・上御霊神社)
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