出版案内
福祉事業団
京都新聞AR

戦後の転換期から今を問う 滋賀で「吉左衞門X」展

樂吉左衞門さんは「抑止力」と題したオブジェに、現代の危うい状況と1970年に感じた怒りを重ねた(守山市・佐川美術館)
樂吉左衞門さんは「抑止力」と題したオブジェに、現代の危うい状況と1970年に感じた怒りを重ねた(守山市・佐川美術館)

 時代の転換期として、大きなうねりを伴った1970年前後を、東京芸術大の彫刻科でともにした作家たちの今を見つめた展覧会「吉左衞門X 70年世代の今」が守山市の佐川美術館で開かれている。木や土、石、金属、ガラスとさまざまな素材に、価値観や時代性を考えさせる多彩な作品が並んでいる。

 安保闘争にベトナム戦争、学生運動、ジャズ、ロック、アングラ演劇、新しいアメリカ美術…と、60年代末から70年代にかけての時代は戦後日本の大きな転換期だった。さまざまな矛盾を背負い、多様な価値観がぶつかり合った時代だ。

 本展は、陶芸家樂吉左衞門さんが共感したり、影響を受けたものを関数Xとしてとらえる企画展の8回目。70年を学生生活の折り返し点としてともに過ごし、現在も制作活動を続ける仲間に参加を呼びかけ、同級生21人のうち14人が出品した。

 樂さんは「抑止力」と名付けた6点を出展した。特別に設けた大型の黒樂窯で焼き上げたオブジェは、機関銃で開けたような穴がある。現代の危うい社会状況に、70年の時のような怒りを重ねた。

 舞台美術やプロダクトデザインなど幅広い活動をする吉江庄蔵さんは、うずくまったり、舞うような「皮膜彫刻」を展示。温めたプラスチック板でかたどった「抜け殻体」の内側に、尊くて深いものを見つめる。

 ガラス工芸やインスタレーションを手がける熊瀬紀子さんは、「水の行方」と題したガラスと鉄の作品に、環境や未来への憂いを託した。学生時代を振り返りつつ、「学生運動にも参加し、いまだにその時の理不尽さを引きずっている。だから、デモに行くし、環境問題にも関わっている」と語った。

 樂さんは「70年は青春の出発点。世の中にもまれ、生きていることに悩みの多い時期をともにした。素材も作行も違うそれぞれの歩みだが、同時代を生きた共通の空気感がある」と話した。

 同展は来年3月11日まで。月曜休館(祝日は開館、翌日休館)、有料。同美術館077(585)7800。

【 2017年10月18日 11時44分 】

ニュース写真

  • 樂吉左衞門さんは「抑止力」と題したオブジェに、現代の危うい状況と1970年に感じた怒りを重ねた(守山市・佐川美術館)
  • 浮遊する吉江さんの「皮膜彫刻」。素材も作行も違う作品が、一つの展覧会で響き合う
京都新聞デジタル版のご案内

    観光・社寺のニュース

      政治・社会

      海自の潜水艦から最新装置誤発射
      四国沖太平洋で訓練中、被害

      20180524000205

       海上自衛隊の潜水艦「せきりゅう」が24日未明、四国沖の太平洋で訓練中、魚雷攻撃を避ける..... [ 記事へ ]

      スポーツ

      日大、反則問題で従来の主張踏襲
      意図的指示せず、関学大に再

      20180524000133

       アメリカンフットボールの悪質な反則問題で、日本大は24日、危険なタックルに至った経緯な..... [ 記事へ ]

      経済

      スバル、初のEVはフォレスター
      主力車で環境対応

      20180524000102

       SUBARU(スバル)が、2021年に発売する初の電気自動車(EV)をスポーツタイプ多..... [ 記事へ ]

      教育・大学

      自主撤去タテカン、これが「表現」 京都市立芸大で展示会

      20180519000121

       景観や安全性を理由とした撤去騒動が起こっている京都大の名物「立て看板」の展示会が19日..... [ 記事へ ]

      環境・科学

      原発再稼働、地元同意対象拡大を
      福井の市民団体が協定締結要

      20180524000145

       脱原発などを訴える福井県の市民団体が24日、原発再稼働時の「地元同意」の対象を、原発か..... [ 記事へ ]

      国際

      台湾、ブルキナファソと断交
      中国が外交圧力

      20180524000210

       【台北共同】台湾の呉ショウ燮外交部長(外相)は24日夜、緊急記者会見を開き、同日付で西..... [ 記事へ ]