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住宅支援終了1年「この地で生きていく」 京都への避難女性

原さんが大切にする花の一つのカンパニュラ。福島県で育てていた花は残してきた(宇治市大久保町)
原さんが大切にする花の一つのカンパニュラ。福島県で育てていた花は残してきた(宇治市大久保町)

 東京電力福島第1原発事故で福島県郡山市から京都府宇治市に移り住んだ原香代子さん(67)。避難者向けの住宅支援が昨年春で終わり、一般の人と同じ条件で府営住宅で暮らし始めて1年を迎えた。東日本大震災の発生から7年。この地で生きていく決意を語る。

 原さんは2010年秋に定年退職した。会社勤めのころから、1年を通して花が咲くよう、自宅の庭を整えていた。退職後は花を育て、母の世話をして、ゆっくり過ごそうと思っていた。

 その矢先の震災。自宅から約50キロの原発で起きた事故に不安が募り、当時、会社員だった長男(41)が探し当てた府営住宅(宇治市大久保町)に11年4月初め、共に身を寄せた。長男も勤務先を退職しての移住だった。

 その時、庭のない団地で育てるのは無理だろうと、育てた花は郡山市に置いてきた。

 宇治市でパートの仕事を続ける。府営住宅でも、以前より少ないがパンジー、ビオラの鉢植えを部屋やベランダに並べた。「花を見ていると幸せ」。以前と同じ楽しみを感じられるようになった。

 震災から7年。数々の転機を迎えた。

 自主避難先の公営住宅が無償提供される制度が昨年春に終わるのを前に、府営住宅にあらためて応募し、昨年1月に移った。家賃や町内会費の免除は、もうない。将来、収入が年金だけになった時のことを考えると不安だが、「もう『避難者』じゃない。自立できた気持ち」と前を向く。

 一方で、古里との距離を痛切に感じる。90代の母は福島県喜多方市で兄夫婦と暮らす。帰省した時、母が「地震がなければおまえと居られた。地震を恨む」と漏らしたことがあった。「こんなことがなければ福島で生活が続けられたのに」と思う気持ちは消えない。

 さまざまな思いを胸に、諦めず、「ずっとここで暮らしていく」との思いを新たにしている。

【 2018年03月11日 13時06分 】

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