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父よ息子よ「ありがとう」 京都出身、ボクシング世界王者・久保

世界王者となり、観客席の父・憲次郎さん(左)と握手して喜びを分かち合う久保選手(9日、大阪市・エディオンアリーナ大阪)
世界王者となり、観客席の父・憲次郎さん(左)と握手して喜びを分かち合う久保選手(9日、大阪市・エディオンアリーナ大阪)

 「勝たないと、言えないと思っていた。今まで育ててくれて、ありがとうございました」。9日、京都出身者で初のボクシング世界チャンピオンに輝いた久保隼(しゅん)選手(27)が、勝利インタビューで感謝を口にした。視線の先には、父・憲次郎さん(51)=京都市西京区=ら家族がいた。父を追いかけて競技を始めたものの、衝突し、疎遠にもなった。父は「尊敬します。僕がありがとうと言いたい」と感慨深げに語った。

 憲次郎さんは京都のジムで力をつけ、全国高校総体にも出場。自宅に飾られたトロフィーを見た久保選手が、小学生時代にボクシングに関心を示したが「今もだが、優しい子。向いてないと思った」と当初は反対したという。中学2年から父の指導を受け、強豪の南京都高(現・京都廣学館高)へ進んだ。

 同高の指導者となるよう期待されて東洋大へ進学。しかし、伝統ある母校を支えられるのかと思い悩んで自分を追い込み、3年で退部した。父は「途中で辞めることは絶対したらあかん」と帰郷した息子を叱り、家に入れなかった。頑固な久保選手は公園で1週間過ごした。一度競技を離れて「自分にはボクシングしかない」と、再びグローブを手にした。父との連絡は絶えたままだった。

 久保選手のプロデビューを父が知ったのは、試合後だった。勝ち続ける息子を陰ながら応援した。「隼は元来(3階級上の)ライト級。並の神経じゃ減量できない。タフです」

 そして迎えた世界ボクシング協会(WBA)スーパーバンタム級タイトルマッチ。激戦の後、父と子は固く握手した。久保選手は「相変わらずうっとうしい。でも、父親なんで」と照れた。憲次郎さんは「一度ドロップアウトして、そんな簡単に世界は取れない。人より3倍、4倍努力したということですよね」。厳しい父は、我が道を貫いた息子に、柔らかい笑顔を見せた。

【 2017年04月11日 09時05分 】

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