琵琶湖希少魚、イチモンジタナゴ復活へ
琵琶湖でほとんど姿が見られなくなった希少な魚イチモンジタナゴの復活に向け、滋賀県の市民団体が増殖に取り組んでいる。平安神宮(京都市左京区)の池に生き残っていた個体の子孫を親魚として活用した。増やしたタナゴは将来、専門家の支援を受けながら自然界へ放流する計画だ。
魚類調査や自然保護に取り組む「ぼてじゃこトラスト」が、かつて身近だった魚を取り戻そうと2007年から取り組みを開始した。タナゴの中でも絶滅の危機に直面しているイチモンジタナゴを対象に選び、琵琶湖博物館から親魚100匹を借り受けて屋外の人工池に放した。
この親魚は、平安神宮の池で見つかった個体を博物館が増やした。琵琶湖では外来魚の食害などで姿を消したが、琵琶湖疏水の水を引く神社の池で生き残っていた。
同トラストは、魚が好んで産卵に利用する二枚貝の種類を特定するなどして増殖に成功した。小学校や企業の池で魚を増やす「里親プロジェクト」も進め、大津市内の上田上小や逢坂小、オムロン野洲事業所など5カ所の池やビオトープで育ててもらい、計数千匹に増やした。
将来は琵琶湖や周辺水域への放流を目指すが、安易な放流は遺伝子のかく乱などで逆に在来魚を脅かす恐れがある。そのため同トラストは琵琶湖博物館の学芸員らと連携し、専門的なアドバイスを受けながら放流の可能性を探るという。
琵琶湖にはまだ多くの外来魚がいるため、放流しても食べられてしまう恐れがある。ぼてじゃこトラストの遠藤真樹顧問(65)は「当面は地域で繁殖と保存の場所を増やしたい」と述べ、取り組みを通して市民レベルで放流の合意形成を目指すとしている。
【イチモンジタナゴ】 コイ科タナゴ亜科の淡水魚で体長6~8センチ。体に青緑色の線が一本あることからこの名がついた。琵琶湖では1990年代に外来魚の増加とともに激減し、環境省は絶滅の恐れが極めて高いカテゴリー(絶滅危惧ⅠA類)に分類している。
【 2012年02月08日 12時54分 】
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