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実験動画を投稿、生物好き生徒増やせ 京都の高校講師

三脚を立てて、自ら実験する姿を撮影する矢嶋さん。5年間で公開した実験動画は100本を超えた(京都市北区・紫野高)
三脚を立てて、自ら実験する姿を撮影する矢嶋さん。5年間で公開した実験動画は100本を超えた(京都市北区・紫野高)

 京都市立紫野高(京都市北区)で生物を教える教員が、生物の発生や遺伝子組み換えなど、高校生物の教科書に掲載されている高度な実験を実施して自ら撮影し、動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開している。完成まで数年かかった動画を含め、約5年間で100本以上を公開、閲覧数は計46万回を超えた。高校での実験離れを食い止めたいとの思いで、教員は「実験は自然科学の基礎。生物好きや、研究者を目指す生徒が増えてほしい」と願っている。

 同高非常勤講師の矢嶋正博さん(68)。約40年間、市立高の生物教諭を務め、教科書の執筆も手がけた。動画作成のきっかけは2012年に生物の教科書が大きく改定され、難しい内容が増えたことだった。教える量が増えて実験に費す時間が減り、実験自体が高度化したことで、実験離れが進んでいるという。

 動画は空き時間や休日を利用して実験し、カメラを三脚で立てるなどして撮影し、自宅のパソコンで15分以内に編集している。

 完成まで3年かかった労作もある。「ウニの発生」では、ウニを海で採取して授精させ、成長していく様子を1年かけて撮影した。海水を2週間ごとに丹後半島までくみに行ったり、餌や海水の温度に気を使ったが、最初の2年は途中で死んでしまい、成功したのは3年目だった。

 遺伝子組み換えの単元では、08年にノーベル化学賞を受賞した下村脩氏が解明したオワンクラゲの光る性質を利用し、大腸菌にクラゲの遺伝子を組み込んだことを確かめた。電気泳動の技術を使ってDNA鑑定の実験も行った。

 試薬購入などはすべて自費で、数百万円かかっているが、ノーベル賞受賞者を多く輩出している日本の基礎科学の根本に実験があると確信し、若者育成につなげたいという願いが原動力となっている。視聴者は日本の学生か教員が中心だが、米国や台湾からもアクセスがあるという。

 矢嶋さんは「手を動かしたり、失敗を繰り返す体験が、科学の学習には何より大切。多くの人に実験の楽しさを知ってほしい」と話している。動画は「矢嶋正博」と入力すれば検索できる。

【 2017年02月11日 17時42分 】

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