出版案内
福祉事業団

創生相発言に怒る学芸員 文化財は未来への財産

4カ国語で説明が聞ける案内板(18日午前、京都市中京区・二条城)
4カ国語で説明が聞ける案内板(18日午前、京都市中京区・二条城)

 政府の観光振興を進める上で「一番のがんは文化学芸員」とした山本幸三地方創生担当相の発言に、批判が高まっている。山本氏は発言を撤回し、謝罪したが、18日には再び二条城(京都市中京区)の英語の案内表記を「不十分」と批判した。多くの文化財が集積する京都の博物館の学芸員からは「最も大切な仕事は文化財の保護」「保存と活用のバランスを考えながら地道に取り組んでいる」と、学芸員の仕事に理解を求める意見が相次いだ。

 龍谷大龍谷ミュージアム(下京区)の石川知彦副館長(57)は学芸員の仕事は博物館法で定められているとして「一般には展覧会やシンポジウムなどが知られるが、最も大切なのは文化財の保護であり、調査研究だ。貴重な文化財をわれわれの代でつぶすわけにはいかない」と指摘する。

 山本氏の発言には「観光への安易な活用ばかりを強調する発言にがっかりした。京都の人はもっと怒ってもいい」と批判した。

 亀岡市文化資料館(京都府亀岡市)の黒川孝宏館長(62)は「文化財は現在の人だけのものではない。500年、千年と守られてきた文化財を、私たちが同じように引き継いでいかなければならない」と強調。「国が定めた基準の範囲内でアイデアを出し、公開の努力をしている。国の方針として矛盾している」とあきれる。

 「地方都市の学芸員は、市指定や未指定の文化財でも、地域の貴重な文化として将来に残そうと地道に取り組んでいる。地方創生を考えるなら、そういう活動にも目を向けるべきだ」と注文を付けた。

 京都文化博物館(中京区)の森脇清隆主任学芸員(55)は、今回の発言に「もうかるなら文化もただ消費すればいい、という発想を感じる」といい、「これまで守られてきた文化財が、観光目的のために切り売りされ、傷ついたり失われては、将来に対して非常に恥ずかしい」と危ぶむ。

 文博では、子どもや外国人らを対象に、どのような展示やワークショップが望ましいかを日々模索しているという。「学芸員に観光の視点がないわけではない。文化財の保存と活用のバランスをとりながら頑張る学芸員たちの取り組みをむしろ、応援してほしい」と訴えた。

【 2017年04月19日 22時30分 】

ニュース写真

  • 4カ国語で説明が聞ける案内板(18日午前、京都市中京区・二条城)
京都新聞デジタル版のご案内

    地域のニュース

    全国のニュース

      政治・社会

      受動喫煙対策、日本はまだまだ 京都で防止訴え

      20170527000141

       世界保健機関が定める「世界禁煙デー」(31日)を前に、受動喫煙防止の重要性を訴える催し..... [ 記事へ ]

      スポーツ

      ダルビッシュは3敗目
      ブルージェイズ戦、6回3失点

      20170528000013

       ▽ブルージェイズ―レンジャーズ(27日・トロント) レンジャーズのダルビッシュは先発で6..... [ 記事へ ]

      経済

      シャープ、東証1部復帰申請へ
      6月末に、戴社長

      20170527000127

       【台北共同】シャープの戴正呉社長は27日、現在の東京証券取引所2部から1部への復帰へ向..... [ 記事へ ]

      観光・社寺

      飛鳥時代から奈良時代の集落跡見つかる 滋賀・甲良

      20170527000047

       滋賀県甲良町在士の法養寺遺跡と横関遺跡で、飛鳥時代から奈良時代の集落跡が26日までに見..... [ 記事へ ]

      教育・大学

      小中学生が裁判員裁判体験 滋賀、弁護や検察役に分かれ

      20170527000128

       小中学生が裁判員裁判を体験する憲法週間の記念行事が27日、大津市の大津地裁で催された。..... [ 記事へ ]

      環境・科学

      独首相、米の温暖化議論「不満」
      G7サミット閉幕後の記者会

      20170527000150

       【タオルミナ共同】ドイツのメルケル首相は27日、イタリア・タオルミナでの先進7カ国(G..... [ 記事へ ]