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石見銀山の江戸期鉱石、大量発見 京都で研究進む

まとまって発見された鉱石。益富地学会館などが研究を進めている
まとまって発見された鉱石。益富地学会館などが研究を進めている

 世界文化遺産の石見銀山(島根県大田市)で江戸時代に採掘された鉱石の標本資料がまとまって発見され、益富地学会館(京都市上京区)などが研究を進めている。これまで江戸期の鉱石はほとんど見つかっておらず、まとまって発見されるのは珍しい。一部は鉱物名や採取日が書かれた和紙に包装されていた。研究者は「銀生産の状況や手法を明らかにする上で大きな手がかりとなる」としている。

 標本は、石見銀山の山師(鉱山経営者、技術者)で要職の「山組頭」を務めた家系の民家で3年前に見つかり、石見銀山資料館に寄贈された。薬として利用した鉱物「石薬」を研究する大阪大総合学術博物館の伊藤謙特任講師が知り、今年から3者によるグループで研究を進めている。

 標本は主に3センチ前後で58点あり、木箱に入っていた。うち24点が鉱物名、採取地、採取者、採取年月日などが書かれた和紙に包まれていた。和紙には「天保」「文久」など江戸時代後期の元号が記されたものもある。鉱石名は「福石」のほか、文献でしか確認されていなかった「六方」「黒地銀寄生」もあった。

 このうち「福石」はもともと紐状の自然銀で、後に硫黄と反応して表面が黒色の針銀鉱に変化したことが判明。「六方」は低温の熱水によってできる鉱物が含まれていたことから、石見銀山の鉱床のひとつ「福石鉱床」で採取されたと推定できたという。

 鉱石は幕府の収入源となるため、持ち出せず人の出入りも制限されていた。鉱石の分析を進める益富地学会館の石橋隆研究員は「これまで不明な点が多かった江戸期の鉱山について明らかになりつつある」と話す。石見銀山資料館の仲野義文館長は「鉱山の盛衰は激しいため古文書は残りにくく、まとまって現存するのは珍しい。山師として鉱石の品位(金属含有量)を見極める力を伝承するためや、幕府の役人に報告するための見本だった可能性も考えられる」と分析する。

 標本は7月14日から同資料館で開催の世界遺産登録10周年記念「石見銀山展」で一部を展示予定。

 下林典正京都大大学院理学研究科教授(鉱物学)の話 江戸以前の鉱石が見つかるのは、歴史的にも産業史、鉱業史においても重要で価値がある。別々に研究してきた鉱物と文献を結び付けた面でも意義は大きい。例えば「六方」は実物がなかったが、鑑定の結果いま使われている用語と結びつくことができ、(古代エジプト文字解読の鍵となった)ロゼッタ・ストーンのような役割を担うことになるだろう。

【 2017年06月26日 08時50分 】

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