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社説:認可保育所落選 待機児童解消が優先だ

 この春から認可保育所に入るための1次選考を受けて落選した0~2歳児が、全国で少なくとも3万5千人に上ることが分かった。

 多くが待機児童になる可能性がある。増え続ける保育ニーズに対し、保育所が不足している実態が改めて浮かび上がった。

 安倍晋三政権は昨年の衆院選で幼時教育・保育の無償化を公約に掲げた。2019年4月から一部で始め、20年4月には全面実施する方針だ。

 無償化に向けて、保育所の利用希望者が急増している可能性がある。待機児童が多数いる中で無償化を実施すれば、不平等感が増すことは確実だ。無償化を急ぐより、保育所整備を優先させるべきではないか。

 共同通信が66自治体に調査を実施した。調査対象は政令市、東京23区と、昨年4月時点で待機児童が100人以上いた計87市区町村で、66自治体が回答した。

 全体の申込数約17万5千人に対し、受け入れ枠は約14万人だった。競争率は1・25倍になる。89%の自治体で受け入れ枠が足りない状態だった。

 その一方で、京都市などでは受け入れ枠が申込数を上回った。市町村が保育施設の整備を進めているためで、受け入れ枠が足らない自治体でも多くは不足数を減らした。

 それでも落選者が多いのは、保育所の立地などが保護者のニーズと合致しないからとみられる。仕事と子育ての両立を目指す保護者にとっては、必ずしも事態が改善されたとはいえない状況だ。

 待機児童の解消対策として、国は自治体間の枠を超えた「越境入園」を促すことを柱とした子ども・子育て支援法の改正を4月から実施する。

 居住地ではなく、近隣や勤務先の自治体に保育所の空きがある可能性もある。各自治体は相互の調整をスムーズに行ってほしい。

 無償化については、政府は当初、認可保育所に限る方針だったが、「不平等だ」という声を受け、対象となる認可外保育サービスの仕分けの検討に入っている。

 すでに認可と認可外で利用者間には強い不平等感がある。このうえさらに線引きをすれば、新たな不満層が生まれないか、心配だ。

 保育の受け皿不足対策として、保育士数や施設条件などの規制緩和も浮上しているが、保育の質の低下を招く可能性がある。子どもたちがしわ寄せを受けることはあってはならない。

[京都新聞 2018年02月26日掲載]

【 2018年02月26日 11時13分 】

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