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革命で失われた設計、京都に現存 明治建築の正教会大聖堂

京都ハリストス正教会の大聖堂(京都市中京区)
京都ハリストス正教会の大聖堂(京都市中京区)

 明治時代に建てられた京都ハリストス正教会(京都市中京区柳馬場通二条上ル)の生神女福音(しょうしんじょふくいん)大聖堂=市指定文化財=が、当時のロシアで刊行された教会図面集を基に設計されていたことが、市文化財保護課の調査で確認された。ロシアでは多くの教会がロシア革命の際に破壊されたといい、当時の意匠を今に伝える木造聖堂として歴史的な再評価が進みそうだ。

 大聖堂は1903(明治36)年築で、日本正教会の大規模木造聖堂としては国内最古。京都府庁旧本館(重要文化財)などを設計した建築家松室重光(1873~1937年)の代表作の一つとされる。

 同課の石川祐一文化財保護技師によると、図面集は1899年にモスクワで刊行された「教会外観および正面の設計図」。収容人数や構造形式に応じた32種類の教会建築の図案などが掲載されていた。このうち22番の図案が京都の聖堂と酷似しており、この図案が設計の基となったと結論づけた。

 石川氏が建築の経緯を調査したのは、2015年度に行った聖堂の外壁塗装の復元修理がきっかけ。聖堂建築に携わったニコライ主教の日記を調べたところ、「建築図の冊子の簡素なものから、鐘楼があるタイプに変更した」「松室と面会し、図面を渡した」などの記述があった。石川氏は、仙台ハリストス正教会(仙台市)の大司教が、ウクライナで見つけた図案集を持っていると聞き、コピーして調査していた。

 石川氏によると、松室は敷地の測量結果を基に図面修正し、1カ月で実施設計を仕上げたという。石川氏は「松室は、窓枠や屋根の意匠など細部まで図案を再現しようとした。日本の建築家が西洋建築の意匠を吸収していった過程を知る上で貴重な資料や建造物だ」と指摘する。

 京都ハリストス正教会の及川信・長司祭は「ロシアや周辺でも図案に基づいた聖堂があったはずだが、ロシア革命で多くが破壊された。老朽化が進むが、守り続ける責任をあらためて感じる」と話す。

 調査結果は、今春に創刊された市文化財保護課の研究紀要に掲載されている。インターネット(http://kyoto-bunkaisan.com/)で公開している。

【 2018年04月18日 11時20分 】

ニュース写真

  • 京都ハリストス正教会の大聖堂(京都市中京区)
  • ロシアで刊行された図面集のうち、京都の聖堂の原案になったとみられる図面(仙台ハリストス正教会提供)
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