京都大好きトーク!

第五十一回 子も親も共に育つ京都の子育て。「はぐくみ文化」を未来へ!
門川大作京都市長 × 永田萠さん(イラストレーター、絵本作家、こどもみらい館館長) × 松尾翠さん(フリーアナウンサー)
門川大作京都市長さん・永田萠さん・松尾翠さん 対談写真
門川大作京都市長さん・永田萠さん・松尾翠さん 対談写真
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門川大作京都市長さん・永田萠さん・松尾翠さん 対談写真
門川大作京都市長さん・永田萠さん・松尾翠さん 対談写真
こどもみらい館(京都市中京区)での座談会に出席した皆さん

<プロフィール>
永田萠(ながた もえ)/1949年兵庫県生まれ。京都の出版社、デザイン会社などの勤務を経て独立、イラストレーターとなる。画集やエッセーなどこれまでに約170冊を手掛ける。またイラストレーターとして仕事をしながら、一児の母として子育ても経験する。学生時代から京都市内に在住。
松尾翠(まつお みどり)/1983年千葉県生まれ。東京・神奈川など関東圏で育つ。2006〜13年テレビ局所属のアナウンサーとして活躍。結婚を機に13年から京都市在住。現在はフリーアナウンサー。14年に長女、18年に次女を出産し子育てに奮闘中。友人と立ち上げた「のらねこ団」で朗読会を行っている。

子育ての喜びと大変さ
永田萠さん門川市長 本日は絵本作家でこどもみらい館(京都市子育て支援総合センター)館長の永田萠さん、フリーアナウンサーで子育てに奮闘中の松尾翠さんにお越しいただきました。まずは永田さん、子育てにはどんな思い出がありますか?
永田さん 30代後半から40代は子育ても仕事も一番忙しく、夫や周りの手助けなしには乗り切れませんでしたね。その頃先輩作家の方が「今が宝物よ」とおっしゃった。「坊やが駆け寄ってきて頭がドンッとおへその辺りに当たる頃までね」と。確かに「お母さんが世界一好き」と言ってくれたのはその頃まで。先輩の言葉は正しかったと、今本当に感慨を持って思います。
門川 その「宝物」の時期の松尾さん、子育てはいかがですか?
松尾さん やっぱり楽しいです。もちろん「もーっ!」と思うときもあるのですが、20年後振り返ったらとよく考えます。寝ていた子が1年もたてば歩きだす。命の成長を間近で見られるのは今だけ。大変な時こそ20年後からの視点に切り替えて、楽しまなきゃ損と。
永田 そのことに今気付いてらっしゃるのは、とっても偉い!
松尾 先輩たちが教えてくださるからです。皆さんの言葉が道しるべです。
永田 大変さと喜びは同じ重さですね。

親も共に育つ京都の子育て
松尾翠さん門川 まさに子育てを満喫しておられる松尾さん。京都の子育て環境をどう感じておられますか。
松尾 結婚を機に京都に来て、四季が豊かで子育てにこんな良い場所はないと感じています。散歩でお花に出合い、子どもは自然を肌で感じ大きくなる。お祭りにもよく出合います。
永田 お祭りは私たちのように京都に親戚のない者が地域に溶け込める素晴らしい機会ですね。あるとき大人だけで地蔵盆をされているので「子どもさんがいないのに地蔵盆なさるんですか」と声を掛けたら「当たり前ですがな。そのうち子どもは生まれます」と言われ、「これぞ京都」と感じました。実際その後子どもさんが増えて。京都は歴史と文化が折り重なる成熟した都市。私は勉強するためにここに来て就職し、結婚も子育ても京都でしました。仕事の95%が東京でも、京都で暮らす良さを手放すことはできませんでしたね。
松尾 優しく声を掛けてくださる方も多く、臆せず飛び込んだら皆さん懐が深い。「子どもが迷惑をかけてしまうのでは」と息苦しくなりがちですが、周囲にちょっと頼る・甘えるという気持ちを持っても大丈夫だと思い始めました。
永田 お子さんが5歳ならママも5歳、親も共に成長することが大切ですね。
門川 「子どもの学びは、親の学びから」と親の学びを支援するプロジェクトが立ち上げられるなど、市民の皆さまの自主的な活動も活発です。8カ月児健康診査の時も、ボランティアの方が絵本の読み方教室を開催していただいていますが、「子に絵本を読んだのは振り返れば至福の時間。若いお父さん、お母さんにも伝えたい」と始められたんです。
松尾 絵本を読むことは、大人自身のセラピーにもなります。作品の美しさ・豊かさ、子どもの真剣なまなざしは心に染み入ります。「上手じゃないから」と読み聞かせをためらう人もいますが、子どもにとってお父さん・お母さんの声で聞く以上の幸せはないと思います。
永田 絵本は非常に短く32ページほど。読み聞かせが前提なので編集会議では必ず声に出して読むんです。紛らわしい音がないか、子どもに分かりやすいかと。また、絵と文には役割分担があり、例えば「よく晴れた水曜の朝です」なら、「よく晴れた朝」は絵が、「水曜」は文が伝えます。
松尾 目で見て耳から聞いてですね。
永田 両方で一つの世界。だから、膝に乗せ声を出して読んでいただくのが一番です。生きる上での真理を含む名作が多いですから、大人も気付かされることがたくさんあります。
松尾 本に浸る時間が1日5分あれば、精神衛生上も良いと思うんです。

こどもみらい館20周年
門川大作京都市長門川 こどもみらい館は今年20周年を迎え、その記念行事も多彩に始まりました。永田さんには、3年前から館長にご就任いただき、心強いです。
永田 こどもみらい館は竹間富有小学校(現・御所南小学校)の跡地にありますが、私はまさにこの地域で子育てをし、多くの方々に助けられました。館長をお受けしたのも、微力ですが地域にご恩返しをと考えたからです。ここは乳幼児と保護者のための総合支援センターで、気軽な電話相談や、カウンセラーがじっくりお話を伺う対面相談、発育・健康について専門医が対応する健康相談があります。また、ベビーダンスやヨガ、工作教室など講座もたくさん。特にパパ向け講座は人気です。同じ悩みを持つお父さんが集われ、お子さんとの遊びや子育てについての情報交換などを楽しんでおられます。
門川 私は4人の子どもの子育てにはかなり関わったつもりですが、やっぱり仕事中心の生活でして、妻は大変だっただろうと反省しています。
永田 今、子育て中のお父さんには、先輩パパの反省をぜひ生かしてほしいですね(笑)。また、乳幼児が屋内で思う存分遊べる遊び場「こども元気ランド」では、ボランティアの方々に加わっていただき、見守りを手厚く行っています。
松尾 私もここで、絵本の朗読会をさせていただいています。
永田 すてきですね。ここには京都市有数の絵本の蔵書がありますが、20周年を記念し、今度は皆さまに作者になっていただこうと手作り絵本コンクールを開催します。子どもと保護者が一緒に作った作品などが応募できます。ぜひ世界で1冊の宝物を。
門川 たくさん応募いただきたいですね。

「はぐくみ文化」を未来に伝えていくために
門川 これからわが国では人口減少が確実に進んでいきます。国連が掲げる「誰一人取り残さない」SDGs(国連の持続可能な開発目標)に取り組みながら、子どもは社会の宝だというメッセージを伝え、みんなで育みたいですね。そのためには、周りの人のいい意味でのおせっかいも必要ではないでしょうか。
松尾 おせっかいしてください! 皆さまに助けてもらいながら私たち子育て世代が楽しむ姿を見せ、これから子どもを産む世代の皆さんに「大変だけど楽しそう」と思ってもらえたらいいですね。
永田 ママたちが安心して過ごすためにも、私たち世代はおじさん、おばさんの役割を果たしていかなければなりませんね。息子やその友人たちも「子育ては京都で」と、京都に戻ってきていますよ。
門川 うれしいですね。京都市では保育所などの待機児童は6年連続ゼロ。学童クラブ事業は8年連続ゼロです。また、良い人材の確保のために、保育士の配置・給与ともに国を上回る基準を定め、独自の支援を実施。これも市民の皆さまのご理解があればこそ。改めて御礼申し上げます。お二人の今後の抱負をお聞かせください。
永田 私は生涯絵描きとして、子どもの幸せな未来と、お母さんたちのために描きたいですね。バラの中に妖精がいるような夢の世界で心を遊ばせていただきたい。もう一つはこどもみらい館館長として、情報発信や相談事業に一層力を尽くしたいと思っています。
松尾 私は子どもの成長を楽しみながら、自分も親として育ててもらい、地に足が着いた生活をしたいなと。雄大な自然がすぐそばにあるここ京都で、風の匂いを感じ、子どもの笑い声・泣き声に幸せを感じる自分でいたいです。お仕事をセーブしているので、社会から離れている感覚になることもありますが、子育ても大きな仕事。堂々と夢中になりたいなと思います。
永田 子育て期間の充電が次に100%仕事をする時に生きますよ。ずっと京都にいらしてね。
松尾 骨を埋める気持ちでおります(笑)。
門川 「子どもが乳幼児の時は手と目を離さない。少年の時は目を離さない。大きくなっても心だけ離さない」といいますね。子育ては大きな宝を育てる、素晴らしいキャリア。結びに妊娠・子育て中の方へのメッセージもお願いします。
松尾 怖がらずに飛び込んでください。京都には優しい方が多いので、他府県から来て知り合いがいなくても大丈夫です。
永田 こどもみらい館があります。
松尾 そう、こどもみらい館に来てください!(笑)。大変な時は大変だと言っていいんです。声を掛けたらご縁がどんどん広がります。そうしてみんなで「はぐくみ文化」をつないでいきましょう。
門川 心強いです。お二人のさらなるご活躍をお祈りしています。


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