関西電力役員らの金品受領問題を調べている第三者委員会が会見し、関電が当初求めた年内の報告を断念すると明らかにした。

 第三者委は10月に発足し、これまでに関電の役員や社員、OBら計700人超に聞き取りや書面による調査を行ったという。

 委員長を務める但木敬一元検事総長は「量的には5合目を超えたが質的にそう言えるかどうかは分からない」と述べた。長引く調査に理解を求めた形だ。

 数十年に及ぶとされる原発マネーの暗部である。問題の広がりと根深さが改めて浮き彫りになったと言えるのかもしれない。

 だが、当事者である関電が設置した第三者委がどこまで疑惑に迫れるのか、国民は厳しい目で見ていることを忘れてはならない。引き続き徹底した全容解明が求められるが、時間をかければいいというものではないだろう。

 第三者委は原発以外の部門も調査し、関電の隠蔽(いんぺい)体質や企業統治の在り方も検証する。関係者が刑事罰に該当すると判断すれば報告書に明記し、捜査当局の協力要請にも応じる考えだ。

 問題の舞台となった高浜原発以外の関電原発でも同様の問題の有無を調査する方針というが、調べる対象を広げていけばきりがないのではないか。

 問われているのは、どのような視点に立って調査するかである。ポイントを絞るべきだ。

 国策事業ともいえる状況を背景に巨額の資金をつぎ込んで原発建設を進めてきたことが、地元の利権を牛耳る有力者を生む―。そうした原発政策を巡る癒着構造を解明する必要がある。

 利用者の電気料金を含むマネーが立地地域に流れ、その一部が還流する構図が疑われている。

 そこをあいまいにすれば、批判の矛先は第三者委にも向きかねない。高浜町元助役をはじめ亡くなっている関係者も多いが、個人の問題にしてはならない。

 調査の難しさは言い訳にできないはずだ。

 問題を巡っては八木誠会長(当時)が引責辞任し、岩根茂樹社長は第三者委の調査結果報告日に辞める予定だ。

 報告書が出なければ、役員の人選や来年度の事業計画にも影響が及ぶ可能性があるという。だが、企業経営と不祥事調査は本来別の問題であり、切り離すべきではないのか。

 原発事業への国民の不信感は増幅している。「幕引き」のための調査であってはならない。